この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第191巻収録。リビアで作戦行動中の米軍の無人機部隊が、リビア政府の要人が乗るベンツと、ゴルゴの乗るベンツを間違えて誤爆。ゴルゴに瀕死の重傷を負わせてしまう。ゴルゴに個人的な恨みを持つ部隊長・ジーターは、この機会にゴルゴを抹殺することを決意する……。脚本:横溝邦彦
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初めから大ピンチのゴルゴ
ゴルゴはどんな危険な状況も冷戦沈着な判断と、あらゆる可能性を考慮した事前対策で危なげなく乗り切る。しかしいろいろな要因で大ピンチに陥ることがある。このエピソードでは無人爆撃機の誤爆というとんでもない不運でゴルゴは大怪我を負う。
いや、通常なら即死間違いなしの爆撃だったのだから、大怪我で済んだだけでもさすがのゴルゴというところではあるのだが。しかもそこから逆恨みで最先端の無人攻撃部隊から命を狙われるという、さすがのゴルゴも一巻の終わりなのではないかと思わせられる回だ。ピンチを迎えているためか、最近のゴルゴにしてはセリフが多いのも印象的だ。

ゴルゴの生き様を垣間見る
「残念だが……しかしルールは常に征服者の都合で決まる。ルールが嫌なら力を持て」カージャックをし、その後は人質に取った女性に向けて言うセリフからはゴルゴの信念が伝わってくる。とはいえ日常生活でゴルゴ以外の人間からこのセリフを聞けば、正直「何を言っているんだ。
月にいちどだけ息子と会いに行く母親へあまりにひどい言葉だ」くらいの気持ちにはなる。明らかに今にも死にそうで、それでも諦めないまなざしのあるゴルゴが言うから含蓄がある。しかも「残念だが」とゴルゴなりに女性の気持ちに寄り添うのだ。「生ある内にそれを放棄することは……俺のルールには、ない」このゴルゴのシンプルな強さが女性の生き様すら変えていくのも、このエピソードの見どころだと思う。
トンデモ射撃というわけではない
今は閉鎖したまとめサイトで「ゴルゴは1万キロ先の狙撃も成功させた。現実ではあり得ない、さすがゴルゴ」とこのエピソードを面白おかしく取り上げるSNSが紹介されていたことがある。サブタイトルだけ見てゴルゴが物理も科学も何もかもを無視した狙撃をしたような印象を受けたのかもしれない。
実際に読めばゴルゴが知恵を巡らし、最先端の技術を使って反撃をする、胸がすくエピソードなのだが。ゴルゴはあくまでフィクションで、個人的にはゴルゴの存在自体はファンタジーと言って差し支えないとすら思う。ただ、ゴルゴのエピソードでは科学や物理のルールを破ることはない。それがゴルゴの魅力のひとつだ。

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大科 友美

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