この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第193巻収録。麻薬組織の女殺し屋、通称「血まみれのマハ」。彼女はじつは双子の姉妹で、二人一組で依頼を遂行するという特殊なスタイルを持っていた。マハを溺愛する組織のボスは、マハを世界的な殺し屋に育てようと、ゴルゴに1日だけの弟子入り体験をするよう命じるが……。
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ゴルゴに焦がれる女たち
ゴルゴといえば情事シーンというイメージは実際あるだろう。確かにゴルゴがエピソードごとに違う女性とベッドを共にするのはお約束だ。その女性たちはコールガールであったり、ゴルゴと同業者であったり、依頼者自身であったりする。今回ゴルゴとの情事が描かれるのは同業者だ。双子であることを隠しながら殺し屋として活動する姉妹のうち妹がゴルゴの相手役となる。
この妹がゴルゴの仕事ぶりや夜の技巧にすっかり惚れこんでしまうのだ。ゴルゴに恋い焦がれる女性が登場するのは珍しくないが、この妹は少女漫画のヒロインのごとくうっとりゴルゴに愛を囁く。このタイプの女性はゴルゴであまり見ない気がする。
ゴルゴを愛した女性の死は美しい?
かの名エピソード『海へ向かうエバ』でも、女スナイパーエバの死出の旅路は物悲しくも美しく描かれている。このエピソードでもゴルゴの命を奪わんとした双子に添えられたモノローグは「二人に降り注ぐスペインの太陽は“血まみれのマハ”の夢のように、光り輝いていた……」。
仮にもゴルゴを狙った相手だというのに美しすぎやしないか、と思ってしまう。ゴルゴに焦がれたキャラだからかとも考えるが、他のエピソードで特段そういった傾向があるわけではない。とはいえ、辛いことの多い人生を歩んできたと描かれる姉妹の終末が美しいこと自体には救われるので、このエンディングは好きだ。
恋と想いが人生を狂わせる
この姉妹の誤算はゴルゴの存在だけでなく、内心疎んじていたボスが血まみれのマハという殺し屋を心から想っていたことだろう。ゴルゴにマハをサポーターとして付けて欲しいと跪いて希う姿に最初は驚いた。もちろん彼のかなわなかった夢を託しているという面もあるだろうが、ピロートークで語った「お前をこよなく愛している! お前のためなら、私は、何でもする!」という言葉にも嘘は無かったと感じる。
この想いを姉妹が少しでも信頼出来ていたらどうなっていただろう。とはいえ、その道でも殺し屋稼業が続く。姉はともかく、妹は例え叶わぬ愛でもゴルゴを愛することができたことが幸せだったのかもしれない。
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大科 友美
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