この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第16巻収録。密輸組織のザネは、自身の裏切りが発覚し、組織本部がザネ抹殺のために殺し屋を送り込んだことを知る。その殺し屋がゴルゴであるとの情報をつかんだザネは、“散弾銃スミニー”の異名で恐れられる香港政庁警察のダーク・張・スミス警部と手を組み、ゴルゴ抹殺へ動き出すのだった……。脚本:K・元美津
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人違いから始まるゴルゴの災難
本作のゴルゴは香港政庁警察のスミス警部に雰囲気が似ているというだけで勘違いされ、襲撃まで受けてしまう。しかもその襲撃方法が二台の車を一台に錯覚させ襲撃するという一風変わった方法なのも面白い。
ゴルゴがこの攻撃にどう対抗するのかが注目したいが、なんといっても最大のみどころなのは“散弾銃スミニー”ことダーク・張・スミス警部との激突だ。散弾銃スミニーの散弾銃が有効な射程までジリジリと詰め寄られるゴルゴ。1対1の対決、ゴルゴが選んだ奇策などから『南仏海岸』を彷彿とさせる決闘は必見だ。
散弾銃スミニー
登場人物で注目したいのは“散弾銃スミニー”の通り名で恐れられる香港政庁警察のダーク・張・スミス警部だ。冷静沈着な佇まいで犯人を説得、それに応じた犯人は人質を解放し一見落着かと思いきや、次の瞬間には犯人の顔面に散弾銃を撃ち込むインパクト抜群の登場シーンを披露する。
しかもその理由は犯人が投降しようとしたとき、拳銃を手放しておらず、人質を傷つけてしまう可能性があったからだという。僅かな可能性も見逃さないゴルゴを彷彿とさせる人物だ。そんな彼はゴルゴによって人生を狂わされた過去を持つ。その復讐劇はどのような結末を迎えるのか……。
ゴルゴとスミニーの確執
本作はゴルゴとスミニーをそれぞれ順繰りに登場させ二人の確執、似た雰囲気を表現しているストーリー構成だ。特にスミニーの散弾銃によるクレー射撃のシーンは『バラと狼の倒錯』『デスマスクの肖像』等で登場したゴルゴのそれを意識していることは明らかだ。
また本作のゴルゴのターゲットがスミニーの部屋を訪れた際、いつの間にか彼らの背後から拳銃を突きつけている姿もゴルゴを彷彿とさせることだろう。似た雰囲気を持つ二人の対決。まさに両雄並び立たずという言葉がぴったりだ。強敵との正々堂々とした決闘を楽しみたい方にお勧めの「ライバル対決もの」である。
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小摩木 佑輔
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