この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第124巻収録。中東経済圏で多大な影響力をもつアルムンド家が、イギリス経済圏掌握にむけて動き出した。アルムンド家の御曹司ナディは、その手段としてイギリスの高級紙の買収と、ダイアン元皇太子妃との親密な関係を切り札に攻め込む。アラブの経済勢力がイギリスに浸透することを恐れたMI6は、ゴルゴにナディ暗殺を依頼する。脚本:久留嶋直行
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愛される美男美女はなぜ薄命なのか
俳優ジェームズ・ディーン、佐田啓二、モナコ公妃グレース・ケリー、そしてあの元英国皇太子妃ダイアナ・スペンサー、彼らの共通点は何か。皆、若くして自動車事故で亡くなっていることだ。人々は悲劇の死を遂げた美男美女を長く記憶に留めおく。
とりわけ、ダイアナについては多くの人が未だ事故死を疑っているので、なおさらであろう。今回のダイアンのモデルはもちろん、社会を熱狂させ「ダイアナカット」とヘアスタイルにまでその名を残したそのダイアナである。彼女は『プリンセスの涙』でも宝石職人に慕われる存在で登場している。

イギリス人はゴシップとギャンブルがお好き
今はどうかさだかではないが、イギリス紳士は感情を表にだしてはいけないと教育されていた時代があった。その反動か、イギリス人はゴシップと賭事が大好きである。ゴシップ系新聞は王室ネタで部数を伸ばし、賭博はウインブルドンテニスでもサッカーワールドカップでもそのネタは尽きない。
今回の狙撃依頼に関連する新聞社にしても、ゴシップ主体の大衆紙が同じ資本の高級紙を支えているのが実状なのにもうなずける。さしずめ同じ経営者が文芸・社会派専門の映画館の裏にアダルト系映画館を作り、後者で前者を支えていくようなものだろう。
げに不可思議なのは男女の仲
そもそもダイアナがあのような非業の死をとげた遠因は、前夫の不倫にある。王位を継承する身でありながら、結婚後もいわば家来の妻と婚外恋愛を続けていたのだから驚きだ。正直言って彼女はそれほど良い女とは思えないが、そこは不思議な男女の仲。
今も昔も「後妻業」のような結婚詐欺の犯人が、美男美女であった例がないのと同じかもしれない。ところで今回のターゲットはダイアンではなく、ゴルゴは彼女の死には関わっていないが、もしダイアンが身重なら『許された命』の例を考えるとゴルゴは彼女の狙撃を依頼されても断ったことだろう。

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野原 圭

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