この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第94巻収録。火山学者クラウン夫妻の命を奪った雲仙普賢岳噴火から一年後。テレビ局の伊東は、噴火直前に現場から逃げ去った謎の人物がいたことを耳にする。伊東はクラウン夫妻の死と関係があるのではないかと調査を開始。地元の警察では「そんな人物はいなかったことにしろ」と、防衛庁から“天の声”があったという……。
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日本とフィリピンの噴火
1991年6月、長崎県にある雲仙普賢岳とフィリピンのルソン島にあるピナツボ火山が噴火した。この自然災害の陰で暗躍したゴルゴに光が当たりかけたのが本作だ。
タイトルにある“クラウン夫妻”は、雲仙普賢岳の火砕流に巻き込まれて命を落としたクラフト夫妻をモデルにしているのは間違いない。6月3日に起きた火砕流ではクラフト夫妻をはじめ、消防団員や報道関係者ら43人が亡くなった。
6月7日から約1週間に渡って数度の噴火が起きたピナツボ火山では、適切な勧告で数万人以上が避難できたものの、建物の崩壊などで800人以上の死者が出ている。
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デイブもびっくりする依頼
本作冒頭に登場するのが銃職人のデイブ・マッカートニー。「また、やっかいな仕事を持ち込んできたんだろう」と顔をしかめるデイブに、ゴルゴは特殊な弾丸の製作を依頼。
ゴルゴが持参した鞄を覗いたデイブは、「なんじゃこりゃ」とびっくりする。それが何かを読者が知るのは後々まで待たなくてはいけない。
ゴルゴは特殊な弾丸を用いるのは本作ばかりではない。『氷上の砦』では氷、『神の滴』では木、『プログラム・トレーダー』では金の弾丸が登場する。いずれも依頼内容に沿ったもので、こうしたアイデアもゴルゴの能力の内なのだろう。
賢明な日本人テレビマンの対応
本作で偶然ゴルゴの足跡を追っかけてしまうのがテレビ局に勤める伊東だ。噴火から1年後の特集番組を作ろうとして、火砕流から間一髪逃れた人間がいたことを知る。
ただし、クラウン夫妻を撮影したフィルムの背後にゴルゴも映っていたことで警察の上層部(国会議員?)から、「すぐに忘れろ」と警告を受けてしまう。
伊東は、「とことん追いつめてニュースにしたい相手ではある」と思いながらも映像のプリントアウトを焼き捨てている。賢明な判断と思いたいが、元になったフィルムは残ったままだ。ゴルゴがそれを知ることはあるのだろうか。
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