この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第9巻収録。共産ゲリラを壊滅するため、ボリビアの政府軍に雇われたゴルゴ。現地に赴いたゴルゴは、ジャングルで全身の血を抜かれた奇妙な死体を目撃する。死体はアメリカの軍事顧問がゲリラ殲滅のために送り込んだ工作員だったが、ゴルゴ以外は全員が返り討ちに遭ったという。ゲリラ軍はなぜ、工作員を特定できたのか……?
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任務とあらば拷問をも耐えるゴルゴ
早々に拘束されムチ打ちに処されるゴルゴ。依頼主に「これも……50万ドルのうちなのか?」と背中の傷を見せるシーンが痛ましい。初っ端からえらい目にあったゴルゴだが「ボリビアでは人にものを頼むとき、なぐるのかと思ったぜ……」とゴルゴ節が止まらない。
鞭打ちの刑に処された受刑者は1週間は寝たきりになるところ、ちょっとした皮肉で許すあたり流石ゴルゴとしか言いようがない。
また自身が本物のゴルゴ13かと疑われた際に疑った人物の脳天に穴をあけることで証明するといったジョークも交えており、疑った人物が慌てて電話してくる小気味良いエピソードでもある。
動物好きの大佐、お喋りな大学生
アルマジロを撫でながらゴルゴが鞭打ちに処されたことを詫びる姿が印象的なドミンゴ大佐。その動作からもわかる通り、かなりの動物好きでこの要素が本作に散りばめられた謎の解決に一役買う伏線だ。
また鞭打ちに処されたゴルゴを牢獄内で気遣ったメキシコ大学の学生、ラモン・トローにも注目だ。彼の多弁っぷりには目を見張るものがあり『最後の間諜-虫-』に登場するスイス銀行の頭取を彷彿とさせる。
この会話シーンにて二言しか台詞を発しないゴルゴに対し、そのマシンガントークで熱心にゲリラに参加するよう促す姿が対照的だ。
謎が解けた時のカタルシスを堪能せよ
本作は冒頭にゴルゴが血のない死体を発見するところからスタートするミステリアスな作風だ。さらに次のシーンでゴルゴがその場に急行した軍人たちに捕まるという全ての要素が謎となった状態で物語は進行する。
極めつけは連行された先で得体の知れない大学生、ラモンから一緒にゲリラに参加するよう促される始末。なぜ牢獄内で出会った面識のない人間をゲリラに誘うのか、鞭打ちされた腹いせにしては一般人がゲリラ参加はリスクが高すぎるし、ゲリラ勧誘の話が軍に漏れた際には命の危険まであり得る。
そんな謎ばかりの物語を後半一つずつ丁寧に種明かししていく展開が本作一番のみどころと言えるだろう。
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小摩木 佑輔
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