この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第33巻収録。元農協の会長から売国奴シュルツの暗殺を請け負ったゴルゴは、シュルツの愛人・マルタンを徹底マークする。ある日、屋敷内でマルタンとシュルツらしき男が密会している現場を目撃するも、翌朝には男の影は消えていた。一体、シュルツはどこに隠れているのか……? 脚本:K・元美津
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平成生まれの方にこそ、オールド・ゴルゴを!
50年近く前となる1970年が初出の本作『死に絶えた盛装』。主人公であるゴルゴ本人の性格などもいまひとつ固まっていないだけでなく、作者であるさいとうたかお先生の画風がいかにも……な雰囲気となっている。それはそれで楽しめるので、まあオールドゴルゴとして読んでみて欲しい。
本作の特徴の1つとしてターゲットが確定していない点がある。もちろん依頼人から名指しされたターゲットは存在するらしいのだが、3年前の情報しかないこともあって依頼人も、「やつくらいの男ならすでに整形手術で別のマスクをもっているだろうし………しゃべり方もかえているにちがいない!」と言いきっている。
ゴルゴに勝算があって受けたのか。ゴルゴの設定が固まっていなくて受けたのか。それともその両方なのか、具合が悪いことに、今回の依頼が成立した直後になんと依頼人がゴルゴの目の前で敵対した組織の者によって殺されてしまう。
正体不明の標的。ゴルゴならではの特定術
ゴルゴが「スポンサーの情報網よりもむこうの情報網のほうが………たしかだったらしいな……」と思うように、その後も敵対する組織からゴルゴは何度も襲われるはめに。
もちろん襲った相手はゴルゴによって返り討ちに、つまり殺されているのだが、中盤以降になってもターゲットの正体不明なのは不気味。ただしそれなりに伏線も張られているので、勘の良い読者なら最初の方で推測できそうだ。そしてゴルゴも最後の最後でターゲットを射殺している。
本作の後にもターゲットが不確定な作品としては『焼けただれた砂』『ナイトメア』などがある。こちらでは熟練したゴルゴがとある手法でターゲットの存在を明らかにしている。熟練したニューゴルゴの手腕を本作と読み比べるのも面白いはずだ。

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研 修治

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