この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。静養で中南米・エクアドルの別荘を訪れたゴルゴ。そして彼をつけ狙う一人の殺し屋。ある晩、殺し屋は暴漢に襲われている女を助ける。町で酒場を営むその女は、自らを“死神”と呼ぶのだった…。運命のいたずらを悲哀たっぷりに描く傑作短編。脚本:ながいみちのり
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エクアドルにも別荘があった
中南米にある国、エクアドルと聞いてピンと来る人は多くないかも。しかし『ロンサム・ジョージ』の舞台となったガラパゴス諸島のある国と言われれば、ゴルゴファンなら「そこか」とうなずきそうだ。北に接するコロンビアほどではないが、日本と比べれば格段に治安が悪い。
しかし治安の悪い国だからこそ、ゴルゴが落ち着ける面もありそうだ。ただし、スイスやアメリカなどにある別荘と同様、利用するのは数年に1度とのこと。眺めこそ良いものの、管理人が掃除を怠ったことで埃っぽい部屋で葉巻をふかすゴルゴは何を考えているのだろうか。
チンピラか?腕利きか?
敵の多いゴルゴは、本作でも殺し屋に狙われた。依頼を受けた男はチンピラ同然の落ちぶれた風体ながらも、それなりに修羅場をくぐっているらしく綿密に下調べを行っている。「奴は気づいているのかも」と用心するところは相当の腕前にも感じられる。
ゴルゴの行動を予測した男は、ゴルゴの背後10メートルほどを追跡して懐から銃を取り出した。ここで撃っていたらゴルゴは反撃できただろうか。ポロシャツに長ズボン姿と武器を持っていないように見えるゴルゴ。背後の男から撃たれた弾丸をよけつつ、ポケットから取り出したリボルバーで一撃…と思いたい。
偶然を疑うゴルゴ
本作でゴルゴは仕事(殺し)をした描写はない。ただしラストシーンでゴルゴに絡んできた女は間違いなく殺されたはず。これは『プレイバック』で娼婦に扮してゴルゴとベッドを共にしたディアナと似たパターンで、ゴルゴにとっては降りかかる火の粉をはらうくらいのものだろう。
服を脱いで誘う女にゴルゴは、「俺は偶然や運命を疑う」と言っている。思い返せば『海へ向かうエバ』でゴルゴは、ターゲットとなったエバに再会し肌を重ねた後、あえて「いや…偶然じゃあない」と告げて、エバに依頼を悟らせた。ゴルゴに「偶然」と言うのは止めよう。
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2024年6月現在、単行本化はされていません。単行本化までしばらくお待ちください。
研 修治
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