この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第198巻収録。日本の製薬会社「徳江薬品」の副社長・徳江功一は、アメリカで大麻が合法化される流れをうけて、自社でも大麻を手掛ける極秘プロジェクトを発足する。しかし、メキシコ・カルテルの妨害を受け事態は困窮。打開策としてゴルゴにカルテル殲滅を依頼するが……。脚本:香川まさひと
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人の心の表裏
人の心の深淵はこれほど謎に包まれているかと怖くなる作品である。田村がゴルゴに依頼したとき、単に理香のことを含め、個人的感情だけを理由にしたのではないような気がする。酒も飲まず、タバコも吸わない田村は、会社の利益のためとはいえ、日本に大麻を広めることに心から賛同しておらず、そのことも告げていたように思われてならない。
今回のゴルゴの仕事で意外な「とばっちり」を受けたのはカルロスではないだろうか。あらぬ疑いをかけられたうえ、本人は何か起きたかさっぱり理解できず、さぞ気味の悪い思いをしているにちがいない。

麻薬ビジネスの究極の壊滅策は解禁
一部の経済学者によれば「麻薬とポルノを撲滅させるには解禁するしかない」という。人間の脳が「禁止と強制」を嫌い、興奮にも慣れてしまうことを思えば、正論ではある。ダメと言われれば欲望は高まり、それを証明したのが、作中にも説明のある禁酒法である。
ポルノにしても、現代でも日常、服を着ていない人間は存在するし、先進国でも裸で過ごすことが常態化すれば、そのうち刺激にも慣れてしまう。そして両者の「市場価値」は下落し、競争原理にさらされて、価格競争が始まるというわけだが、そこに行き着くまでの混乱が問題となる。
もしも日本で大麻が解禁されたなら
アメリカでの麻薬犯罪は深刻で、中毒患者を作るために子供用のキャンディーなどに塗りつけたりしていることもあるそうだ。また、日本から留学する際、斡旋業者によっては犯罪多発地域や問題の多い高校に通学する羽目になり、誕生日には、友達からマリファナ入りケーキがプレゼントされたりすることもあるようだ。
理香が買ったマリファナ入りチョコレートのおかげで日本での大麻ビジネスは頓挫することになるのだが、どの民族より本音と建て前のギャップが大きい日本、特に京都人などが使ったらと思うと、最後の解説には背筋が寒くなった。

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野原 圭

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