この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第107巻収録。アパルトヘイトが終結した南ア共和国。ネルソン・マンデラが大統領となり新政権を発足したが、アパルトヘイト維持を掲げる白人テロ組織は国家転覆を目的としたテロを画策する。マンデラはテロ組織壊滅をゴルゴに託す。ゴルゴとマンデラがロベン島刑務所で知り合っていたという設定も面白い。
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本物そっくりの南アフリカ大統領
本作でゴルゴに依頼するのは、南アフリカのマンデラ大統領。フルネームこそ書かれていないものの、顔もネルソン・マンデラ元大統領そっくりに描かれている。『円卓の騎士団』ではマーガレット・サッチャー元首相がそっくりに描かれているが、いずれもなかなか珍しいケースだ。
さらに興味深いのは、マンデラ大統領がゴルゴに依頼する際に延々と過去の話を語っていること。結局ゴルゴから、「あんたの回想に付き合うために、ここに来たつもりはない」と言われてしまうものの、長々と話を聞いたのは、やはり15年前の恩があったからだろうか。
15年前に起きた出来事とは?
15年前、ロベン島刑務所に収監されていたマンデラ大統領は、ゴルゴと思われる東洋人の男に刑務所から脱出する手段を教えている。マンデラ大統領は、「ひょっとして、あの、東洋人の青年は……」と確信はできていないものの、ゴルゴファンなら思い当たる節があるだろう。
本作の発表は1994年7月。約15年前の1980年10月に『ロベン監獄島』がある。南アフリカのロベン監獄島に入り込んだゴルゴは刑務所の所長を殺害して島を抜け出している。長編漫画で何年も前の伏線を回収して話題になるが、それをさらりとやってのけるのがゴルゴシリーズだ。
15前に起きたもう1つの出来事
約15年前の出来事として、もう1つ見逃せないことがある。南アフリカに入国した時にわざと捕まったゴルゴは宙づりにされながらも、「ふふ……」と笑って兆発している。
本作をさかのぼること約15年。1979年12月に発表された『ミッドナイト・エンジェル』では娼婦から、「女にそんな目つきするもんじゃないわよ」とからかわれたゴルゴは苦笑している。“男は三年に片頬”のことわざもあるが、ゴルゴが笑うのは5年に一度あるかどうか。ただし2つの笑いには大きな違いがある。ゴルゴに苦笑させた娼婦にはゴルゴの心を動かすものがあったのだろうか。
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研 修治
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