この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第47巻収録。仕事でタイのバンコクを訪れたゴルゴと、地元の娼婦・マリーとの一夜を描く。ゴルゴにもズケズケと物を言う天真爛漫な娼婦・マリー。この時期には珍しいゴルゴの笑い顔や、「飲み直そう」といって酒をすすめるなど、マリーに心を許したかのようなゴルゴが見れる。
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マリーのキャラクターを際立たせるストーリーが……
マリーはヒモのロペスとつかず離れず、明るく振舞うユーモラスな娼婦である。今エピソードではゴルゴの活躍シーンは皆無。依頼の由来は描かれないしターゲットも”外国の要人”としかわからない。狙撃シーンも取り立てて言うことがない。
強いて挙げるならひげの巨漢との乱闘シーンくらいであるが、ゴルゴにとってあの程度なんということはない。ゴルゴが完全に引き立て役に回って、せっかくのマリーのキャラクターを際立たせるような展開で良かったのかもしれない。ただし、そうするとゴルゴらしさを損なうおそれもあり読者によっては微妙かもしれない。
タイトルに偽りなし、まさにエンジェル
計画的なものかどうか不明だが、ゴルゴは仕事のアリバイ作りのために娼婦のマリーと一夜を過ごす。『夜は消えず』では逆にゴルゴをアリバイ作りに利用しようした元娼婦の思い違いが事の発端となる。今エピソードではマリーがアリバイを証明してゴルゴは事なきを得た。よく似た構図だがずいぶん異なるテイストなので、未読の方はぜひ読み比べることをお勧めしたい。
それにしてもマリーは殺人捜査をする刑事にも顔が利くとは顔の広い娼婦である。シリーズ随一の明るくユーモラスなキャラクターの賜物か。まさに「エンジェル」のタイトルに偽りなしだ。
娼婦と娼館とゴルゴの関係性
娼婦と娼館とゴルゴの関係性は持ちつ持たれつだ。『ラオスのけし』では連絡役との接触のため、『楽園の汚染』ではターゲットを始末するため。その他、情報収集のため、怪我を癒すため、一時的に身を隠すため、ゴルゴは娼婦や娼館を様々な形で利用する。
彼は頻繁に女性を抱くものの、基本的には“接して漏らさず”だ。本来的な意味での娼婦との関係性を望んでいるのかどうかはよくわからない。ところで今エピソードでは娼館は登場せず、娼婦たちはマイクロバスで一斉にホテルに送り込まれる。大規模デリバリーシステムだ。さすが当時アジア随一の歓楽街とも呼ばれたバンコクである。
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片山 恵右
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