この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第66巻収録。日本企業・シーザー電子が、盗聴不可能な新システムを極秘裏に開発した。宣伝を任された広告代理店の鎌田は、時を同じくして公安からの接触をうける。なんと新システムは核兵器を無力化する装置でもあったのだ。公安が35年間追い続ける謎の人物“ミスターM”の正体とは……? 脚本:工藤かずや
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ターゲットが不明であってもやり遂げるゴルゴ
本作のゴルゴは登場時、依頼主と大木の影に潜み会話を行い、その理由を問われ、「狙撃される場所に出るほど自信家じゃない」と答える。『帝王の罠』でも「銃を持った相手と話せるほど自信家じゃない」と依頼主に言っているが、この常日頃の油断のなさもゴルゴの魅力だろう。
物語のみどころは打つ手なしとなった依頼主の前に颯爽と登場し問題を解決していくところである。本作ではゴルゴは二回、依頼を引き受けるがどちらもターゲットがどこにいるか、誰がターゲットなのか分からない困難な依頼なのだ。本作のターゲットが関係者の息子を人質にとったり万博を爆破しようとする組織なだけに、後味のいいゴルゴを見ることが出来るだろう。

奔走する日本人達に注目
登場人物で注目したいのは、猛烈社員と評される頑張り屋・鎌田広平だ。彼は一介のサラリーマンに過ぎず、「どこにそんなみどころが」と思うかもしれない。が、上司の無茶ぶりにもよく答え、脅迫にも持ち前の使命感と正義感で立ち向かう見ていて気持ちのいい男なのである。
鎌田の友人である外事一課の生島も見逃せない。中盤では彼の鋭い観察眼により物語は急展開を迎え、また後半にかけては鎌田と共に日本の平和を守るためゴルゴを探し奔走する。二人に派手なアクションはないが、日の目を見ぬ努力を惜しまず行ったことを本作で讃えたくなるだろう。
序盤からは考えられない物語がみどころ
本作の物語は、序盤だけ読むと血の気も何もないサラリーマンの日常が描かれているため、肩透かしを食う読者も少なからずいるはずだ。しかし、徐々に陰謀めいた話が浮かび上がりいつものゴルゴ調になっていくので安心してほしい。
序盤では鎌田目線による物語が展開するが所詮は一般人。陰謀に対しての無力感が描かれ歯がゆく感じるが、第二の主人公・生島が活躍し事態を収拾に向かわせるなど起伏に富んだ物語となっている。
そしてこの二人が協力し万博を守るためゴルゴを探し回る場面こそが本作最大のみどころだ。時間ギリギリで物陰から「……俺を探し回る理由を、聞こうか!……」の台詞と共にゴルゴが登場するシーンで彼のカッコよさにシビレてほしい。

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小摩木 佑輔

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