この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第29巻収録。おひろが正式に密偵デビューするエピソード。錠前外しの名人・玉村の弥吉が、小間物問屋・吉野屋の主人・清兵衛と密会しているとの情報を得た平蔵。捜査上には陰陽師・菊川伯耆の影が……。人気キャラ・泥亀の七蔵も再登場。同心顔負けの活躍を見せる。
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憎めない老盗、江戸再訪
『浅草・鳥越橋』で鬼平からお目こぼしをもらった女賊おひろ。そのおひろを目当てに『泥亀』で登場した老盗、泥亀の七蔵が本作で再登場だ。七蔵も鬼平から過去の罪についてお目こぼしを頂いているのだが、火盗改メに対して友好的に見えるな。鬼平から賜ったお目こぼしに恩義を感じているのか、それとも思う事があったのか定かではないが、七蔵の活躍が見ものだ。
痔持ちの七蔵は、古くからの盗賊だけに様々な盗賊の顔を見知っていて、その繋がりも深い物があるのだろう。七蔵が江戸で偶然にも見かけたのが、錠前外し玉村の弥吉であった。江戸での盗みはしないはずだが、何やら侍姿の怪しい男と深い関係にありそうだな。果たして引き込みとして商家に潜入しているのか、それとも別の目的があるのか。七蔵と弥吉との掛け合いも見どころだろう。
鬼嫁の婿いびり
弥吉が引き連れていた侍姿の町人は吉野屋清兵衛なる大店の主人だった。江戸時代には商家を持続するために、外部から娘婿を取って跡を継がせるというのは珍しくもなかったようだ。しかし娘婿といえば現代でも、なかなか家の中では肩身の狭い思いをするようだ。
先代が亡くなって庇護する者も消え、子供も育った年ごろともなれば、さぞや風当たりも強くなっただろうな。婿を良かれと思わない女房であれば、清兵衛のあらゆる行動にも腹が立ったのかな。怪しい陰陽師に付け込む隙を与えてしまったが、なるほど、弥吉は陰陽師が盗賊であると見抜いていた訳か。
囲碁と将棋に熱中
弥吉と清兵衛が出会ったのは碁会、つまり囲碁打ちの集まりだな。そして陰陽師が清兵衛を罠に嵌めたのも同じく碁会。江戸時代よりも前の時代から、囲碁は非常に人気の高いゲームだった。江戸も時代が下ると多くの人が囲碁や将棋に夢中だったそうで、賭碁や賭将棋で身上を潰す者もいたようだ。楽しいゲームだけに、あまり熱くなり過ぎないようにしたいものだな。
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滝田 莞爾
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