この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第28巻収録。密偵の仁三郎は、昔の盗賊仲間で引き込み女のおひろと再会する。おひろは亭主の風穴の仁助のことで、心配事がある様子だった。一方、押し込みを計画中の傘山の瀬兵衛一味。傘山配下の定七は、盗賊・三好屋に寝返って“ある計画”を進めていた……。新しい女密偵・おひろ誕生か?
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生真面目な盗賊の性
鬼平の抱える密偵の中で、本作は張り替え屋として潜入捜査を得意とする仁三郎が主人公のストーリーだ。なかなか密偵としての活躍が出来ずに燻ぶる仁三郎に対し、鬼平は気分転換も必要であろうと声を掛けるのだ。
仁三郎が家中で削っていた木工製品を珍し気に眺める鬼平。どうやら鷽という鳥をモチーフにした物で、亀戸天神で交換をし合う神事があるとの事。
そこで出会う女賊おひろとの思い出話もつかの間、亭主の仁助が怪しい雰囲気であると相談を受ける。生真面目で女性をあまり知らない仁助は、女房おひろに対しての猜疑心で凝り固まってしまうのだ。果たしてその猜疑心は、どのような形となって現れるのだろうか。
木彫りのうそを取り換えましょう
うそ替えの場でおひろと出会いストーリーが展開していくのだが、作中で紹介のある通り菅原道真に所縁のある神事だそうで。一説によると菅原道真が蜂に襲われた時、うその大群が飛んできて助かったらしいのだ。太宰府天満宮からはじまり、亀戸天神社、大阪天満宮、道明寺天満宮をはじめ全国の天満宮で行われている神事だ。
現在でももちろん行われている神事だが、社ごとに催す日時は異なるので調べてみよう。もしかすると仁三郎のように昔懐かしい顔と再会出来るかもしれないな。
初心(うぶ)な男の暴走
押切の定吉から、女房と盗賊頭の不貞を吹聴された仁助。女房を信じる事すら出来ない程、頭に血が上ってしまったのだろうか。想像力が豊かすぎるのか、女性の心を知らずしての行動なのか。猜疑心で頭を覆われた仁助には、自らを陥れようとする罠を見抜く事は出来なかったようだ。
きっと鬼平が仁助の立場ならば、別の方法を取ったに違いない。鬼平の策略によって一網打尽にされる盗賊一味、やはり鬼平は人の心を読む能力に長けていたのだな。
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滝田 莞爾
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