この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。偽の依頼によりペンタゴンの要人暗殺を請け負ってしまうゴルゴ。その背中を暗殺者のスコープが捉える…。進行する「ゴルゴ13暗殺計画」の黒幕は、対話型人工知能(GPT)を駆使してゴルゴの行動を完全に予測する謎の女、メアリー・モリヤマ。彼女の過去とは一体…? 脚本:小倉永慈
ゴルゴを狙う女
仕事ゆえに恨みを買うことの多いゴルゴ。本作では東洋系の女性であるメアリー・モリヤマがゴルゴの命を狙ってくる。年は20代半ばくらいで、なかなかの美女。幼少期の写真には父親らしい白人男性と一緒にいることから、母親が日本人、もしくは日系人か。
話題の対話型人工知能「GPT13」を手がけた腕利きのシステムエンジニアらしく、相当に頭が切れることが分かる。そんな自信過剰から生まれた隙をゴルゴに突かれたのかもしれない。彼女の最後こそ描かれていないが、命を狙われたゴルゴが見逃すとは思えない。ゴルゴの手が伸びたのだろう。

無知な中間管理職
ゴルゴを狙うメアリーに利用されたのが、米軍基地などのインフラを担う日本企業で部長を務める浜中だ。無能な人間が大企業で部長職に就けるとは思えないものの、仕事そっちのけでGPT13との対話に夢中になり、要人とのスケジュール作成を怠るのは呆れるばかり。
さらに「一対一の会話だから」とGPT13にスケジュール作成を任せるのは、情報管理について無知としか思えない。浜中の情報がきっかけでアメリカ人高官はゴルゴに狙撃される。情報漏洩は明らかにならなかったようだが、いずれ大失敗から失業してもおかしくないだろう。
できすぎた依頼
狙撃に集中するゴルゴを背後から狙うのは理に適っている。しかし『極限標的』において、現場で狙われてからゴルゴが気づいた一方、本作では狙われていたことを事前に察知して自らのダミー人形を用意している。
アメリカ人高官殺害の依頼人であるロベルトと、彼に情報を提供したとする浜中との関係-実は無関係-から依頼の怪しさに気づいたのだろう。メアリーは「ゴルゴ捕まえた」と自信満々に電子タバコをくゆらすが、『極限標的』でゴルゴを追い詰めたマックレガーほどにも迫っていない。ゴルゴに対する認識が甘すぎたと言うよりない。

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2025年3月現在、単行本化はされていません。単行本化までしばらくお待ちください。

研 修治

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