この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。2023年、中国・武漢市で未知のウィルスによる原因不明の病気が蔓延し、感染経路にコウモリが疑われる。中国政府はコロナ騒動の隠蔽時、ウィルスとコウモリの関係性を唱え、研究データとともに米国に亡命したコウモリ研究の第一人者・薇麗(びれい)の奪還を企図するが…。脚本:品川恵比寿
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新型コロナの原因
世界中をパニックに陥れた新型コロナウィルス。中国政府は現在でも認めていないが、作中で描かれたように武漢ウィルス研究所が発端となったのは、ほぼ間違いない。それを隠蔽しきれなかった公安部が、亡命した女科学者との交渉材料にするためウィルス学者のロジャースを拘束したことで、ゴルゴの出番へとつながっていく。
2013年に施行、さらに直近では2023年に改正した中国の「反スパイ法」によって、これまで20人近い日本人が拘束された。ゴルゴでもない限り、中国に行くのであれば理由がなくとも拘束される覚悟が必要だろう。

狙撃手十三
武漢に現れたゴルゴを即座に検知したのが、中国の公安部の監視カメラだ。かつては写真の入手ですら困難なゴルゴだったが、ネット環境が張り巡らされた現代では仕方のないことだろう。しかし直後に姿をくらませることができたのも、さすがゴルゴと言えよう。
その公安部でも、ゴルゴを見つけて大慌てするスタッフがいる一方で、「戦争じゃあるまいし」とコーヒー片手に苦笑する職員がおり、認識の差は愉快に感じる。ここまで露骨に中国を描いた本作。様々な規制を露骨に実施する中国でビッグコミック本誌や単行本を読むことはできるのだろうか。
人助けの依頼
富豪であるロジャーズの父から依頼を聞いて「救助はしない」と一度は断ったゴルゴ。しかし「ロシャーズを手放したくなる狙撃」との依頼で引き受けた。基本的には人助けの依頼を断わるゴルゴだが、『白龍昇り立つ』や『世紀末・ハリウッド』などでは、本作同様に人助けにつながる依頼を引き受けている。
それらと本作が異なるのはロジャーズの危険度だ。ロジャーズは長期間拘束されそうになるものの、命の危険性は薄い。しかしコロナの原因を暴露させて、党幹部を揺るがすところまで計算に入れて引き受けたとすれば、ゴルゴの深慮遠謀も見事だ。

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2025年3月現在、単行本化はされていません。単行本化までしばらくお待ちください。

研 修治

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