この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第149巻収録。大統領を警護を務めてきた狙撃手・マックレガー。彼は警護対象をゴルゴに狙撃されるという屈辱を味わった過去がある。マックレガーは雪辱を果たすべく、ゴルゴを追って雪深いスイスの山中へと赴く。後方からゴルゴを狙うマックレガーに対し、ゴルゴがとった奇策とは……? 脚本:品川恵比寿
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復讐に必要な条件とは
『帝王の罠』『チェック・メイト』など、本作以外にも復讐で狙われることの多いゴルゴ。復讐者は十分な罠を仕掛けていたり、腕利きを揃えたりしているだけでなく、身内ですら巻き込む狂気をはらんでいる。本作でゴルゴを狙うマックレガーは、ゴルゴへの怨みを晴らす中で、神父、妻、間男は元より、それ以外にも最低で3人の人間を射殺している。
「悪魔に……良心はない」と決意するマックレガー。そうでもしなくてはゴルゴと渡り合えないのだろうが、結果として敗北した。マックレガーの恨みを抱いた原因にゴルゴが気づくことはあるのだろうか。
3年間の特殊メイクの特訓
着々とゴルゴを追い詰めるマックレガー。ハリウッドの特殊メイクアーティストから3年間特訓を受けたことで、「俺はどんな顔にでも変装できる」と自信ありげにつぶやいている。事実、素顔は鋭い目つきで尖った鼻やあごをしているマックレガーながら、角ばった中年顔、禿げた老人顔、目の細い青年顔と自由自在。
しかもゴルゴの銃弾がかすめて欠けた耳も元通りに直している。普段の変装には無頓着のゴルゴ。3年とは言わないものの、1カ月くらいは変装について、『ティモールの蹉跌』などに登場するトマスに習っても良いのではないだろうか。
ゴルゴが見せる複雑な表情
マックレガーの策略が実り、現地に銃を持ちこめないゴルゴ。スイスの家庭に配備されているライフルを使うことにするが、簡単に調達できるわけもない。そこで町中の酒場に立ち寄って1人暮らしの老人を泥酔させた後、こっそり忍び込んで銃を盗んでいる。ここで見せるゴルゴの態度が興味深い。
銃の代金らしく相当な札束を置いただけでなく、老人と亡き妻の写真を見つけて、その後に老人が亡き妻の名前を寝言で言うのを聞いて、「……」としばし見入っている。巻き込んでしまった老人に、言葉にこそしていないものの、すまなく感じる気持ちがあると思いたい。
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研 修治
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