この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第120巻収録。最新鋭のレーザーガンを駆使する暗殺者Dr.タップスとゴルゴの一騎打ち!標的の目を狙うレーザーガンで数々の殺しを成功させてきたタップス。その彼が次に狙うターゲットはゴルゴ13だった。ライフルの銃弾よりも早く標的を打ち抜くレーザーに、ゴルゴはどう立ち向かうのか……? 脚本:ながいみちのり
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“闇”なのに乳白とはこれいかに
“乳白”の闇……とは秀逸なタイトルだ。闇とは“黒”。濃い闇であれば“漆黒”だろう。そこへ正反対の“乳白”と置くところに妙味があり、最後でその意味を知る。タイトルが伏線であったことに読者は唸らされるわけだ。ゴルゴの活躍ももちろんではあるが、こういったところがゴルゴシリーズの魅力の一つなのである。
そして今エピソードではもうひとつ、タップスの左目の謎が伏線として提示される。レーザーを浴びて失明したらしき左目が終盤で明かされるが、それ自体は回収されることなく終了する。肩透かしではあるが、ヒネた読者にはこういったこともゴルゴの魅力の一つなのである。

優先順位とメンタルコントロール
いざゴルゴをレーザー狙撃しようとした瞬間に姿を現したレッドアイ・マックスに怒りを覚えて、マックスから狙撃してしまったタップス。それによりゴルゴに自分の手の内をさらけ出してしまったため敗れることになった。
冷静にゴルゴを第一ターゲットそして狙っていれば勝機が見いだせたかもしれない。物事の優先順位とメンタルコントロールの大切さを教えてくれるエピソードである。それにしてもレッドアイ(赤外線)の通り名を持つマックスが、失明の危機に瀕するとは皮肉なもので、『未来予測射撃』のピート同様、情報の二重売りなど絶対にすべきではないことも教えてくれる。
非人道的兵器とは?
レーザー兵器の他に非人道的ということで使用が禁じられている兵器として、生物兵器や化学兵器、クラスター爆弾(簡単に言うと爆弾の中に小さい爆弾が収められていて、爆発の際にそれらが飛び散り二次的三次的爆発を誘引する)や対人地雷などがある。しかしながら、この種の条約の常で締結する国と締結しない国とが出てきてしまう。
対人地雷など非人道的兵器の最たるものであることは世界中で認識しているのにも関わらず、アメリカ、ロシア、中国などの大国が条約に締結していない。そういった意味ではゴルゴが非人道的兵器と政治的に戦う『いにしえの法に拠りて』は興味深い作品といえるだろう。ぜひご一読いただきたい。

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片山 恵右

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