この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第46巻収録。フロリダでの退屈なハンティングに飽き飽きしていた名門猟友会の会員らは、一度でいいから合法的に人間を撃ってみたいと語り合う。そんな中、フロリダの上院議員射殺が発生し、犯人(ゴルゴ)がフロリダの密林に逃げ込んだとのニュースが流れる。会員らは合法的に人間狩りができると、嬉々として密林に乗り出すが……。脚本:外浦吾郎
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ゴルゴVSハンター集団、異色の殺し合い
本話では8人もの人物を次々と血祭りに上げていくゴルゴだが、それは依頼に基づく仕事ではない。今回のエピソードは仕事を終えたゴルゴがパラシュートで着地した山中に、名うてのハンター達が居合わせてしまったことで起きた悲劇の一幕である。
「人間狩り」が出来ると喜び、目を血走らせて襲ってくるハンター達を、ゴルゴが返り討ちにしていくのだ。同じ巻に収録の『PRIVATE TIME』と同様、普段と違ったゴルゴの姿が見られる作品である。ハンター達の目線から描かれたゴルゴは脅威の一言で、改めて彼の怖さを思い知らされる。
“人間ハンター”ゴルゴの恐ろしさを実感
自分達は今までどんな獲物も撃ち損じたことはなかったのにと狼狽える最後の一人に、ゴルゴはあっさりと「バック・フィーバーだな……」と言い放つ。バック・フィーバーとは、ハンターが獲物を前にして興奮や恐怖で思わぬ行動を取ってしまうこと。
どんなベテランハンターでも、初めての獲物に向かった時にはただの初体験者だとゴルゴは指摘するのだ。そして読者も改めて実感する。この男こそ人間という獲物を狩り続けてきた凄腕のハンターであり、狙撃技術や身体能力にもまして、その「経験」こそが彼の最強の武器なのだということを……。
それにしても小物揃いのハンター達……
本話の主役ともいえる「B&Cクラブ」のハンター達は、誰も彼も己の狩りの腕を鼻にかけ、「おれはオーストラリアでは何度もこの距離でバッファローを仕留めている!」などと口先のアピールに余念がない。
何だか小物揃いの印象を受けるのは私だけだろうか?考えてみれば、ゴルゴの狙撃は依頼者がいて目的がある「仕事」であるのに対し、ハンターの狩猟はただの遊びに過ぎない。挙句の果てに好奇心で「人間狩り」にまで手を染めようとする彼らの「覚悟の甘さ」に、ゴルゴは制裁を与えたのだ……と解釈するのは、少し美辞麗句が過ぎるだろうか。
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東郷 嘉博
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