この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第114巻収録。王室の正史執筆を依頼された作家のエッシャー。エッシャーは崩御した前国王ゴードインの生涯を調べるうちに、ゴードインの人生に奇妙な空白の1日があることに気がつく。この疑問を侍従長にぶつけたところ、侍従長は絶対的な秘匿を条件に、王国分割運動に対するゴードインの苦渋の決断について語り始めた……。
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ゴルゴ版「高名な依頼人」
『錆びた黄金』で南アフリカの鉱山エネルギー省長官であるサイモンから、「どうやら貴様、わしのような政府高官の依頼など、受けた事がないようだな」と言われてしまったゴルゴ。もちろんその推測が全くの的外れなのはゴルゴファンなら知っているはず。むしろゴルゴほど世界各国の高位高官に単独で会っている人間もいないだろう。
本作ではヨーロッパのとある国王から直接の依頼を受けている。なお、サイモン長官は態度をとがめられたゴルゴに依頼を断られた挙句、ボディガードとともに殺されている。ゴルゴシリーズの中でも指折りの情けなさだ。
浮かび上がる4年前の事件
ゴルゴシリーズでは登場人物の回想などで過去の事件が明るみに出ることがある。本作では王室正史の執筆を依頼された伝記作家が過去の記録を追いかける中で不明瞭な部分に気づいてしまう。
そこから4年前のゴルゴに関する事実が明かされる形で物語を展開しており、手の込んだ方法を取ることによってゴルゴに狙撃を依頼した国王の微妙な立場や心境をまざまざと浮かび上がらせている。ただし、狙撃を依頼する前に教会に破門を願い出て、狙撃の直後に再入門を許されるところを読むと、「クリスチャンって便利だな」と思ってしまう面もある。
エンペラーからの依頼はあるか?
国王つまりキング(KING)よりも高位の存在となるのはエンペラー(EMPEROR)のみ。かつてアメリカ皇帝を自称したジョシュア・エイブラハム・ノートンなどもいるものの、現代においてエンペラーと呼ぶことができるのは日本の天皇陛下とローマ教皇だけなのだとか。
ゴルゴシリーズでローマ教皇は本作の他に『ズドロナス・マリヨ』『新法王の条件』などに登場しているが、ゴルゴに依頼をするには至っていない。また歴代の天皇陛下もゴルゴへ依頼をしていないようだ。さてエンペラーがゴルゴに依頼するとしたらどんな事件になるだろうか。
研 修治
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