この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第5巻収録。マフィアのボス・ニコラス・メランギ。彼は愛人アンジェラの弟で射撃競技でメダルを獲得しているデイブを一味に引き入れ、ゴルゴと対決させようと画策する。「それが嫌なら、お前がゴルゴを消せ」とメランギに脅されたアンジェラは、ゴルゴ抹殺へと動き出すが……。脚本:森幸太郎
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ゴルゴの顔は二度まで
本作のゴルゴはホテル到着早々に命を狙われる。このシーンが最初のみどころと言えるだろう。後述するデイブの姉・アンジェラが物陰から銃を向けた際には、それを見抜きアドバイス。このシーンは『ザ・スーパースター』のジムを彷彿とさせるが、その後の展開は大きく異なっている。
一度は許して貰えたにも関わらず、懲りずにゴルゴのタバコに毒を仕込み、彼に勧める際のやりとりは必見である。ゴルゴはアンジェラの前でタバコを吸ったことがない。にも関わらず彼のタバコを迷いなく取り出す彼女に対して、決め台詞と共に銃弾を放つのだ。仏の顔も三度まで、という諺があるがゴルゴの顔は二度までなのである。
ゴールデンボーイ、デイブに注目
ゴールデンハンドを持つ男、デイビッド・クルーガーが本作の強敵として登場する。彼の見どころは冒頭でも神技と評される拳銃の腕前だ。ゴルゴとの初対面もインパクト抜群。太陽を背にしたデイブが背後からとはいえ、ゴルゴのカフスボタンのみを狙い撃ちするシーンは敵ながら惚れ惚れするカッコよさである。
ゴルゴとの決闘の際も「あんたの右腕をいただく!」という宣言通り、彼の右腕のみを撃ち抜くなど恐るべき技術を持っている。もし心臓を狙われていたら……。他に強敵との対決を描いたエピソードとして『黒い瞳』がある。こちらの強敵キムも、三度もゴルゴの命を奪うチャンスがあったがゴルゴは凌いでいる。どのように切り抜けたか興味がある方は一読をおすすめする。
姉の弟を思うが故の悲劇
本作の物語はデイブとアンジェラの深い姉弟愛があるがゆえの避けられない対決を描いている。アンジェラはゴルゴ抹殺という無謀な仕事を、経済的に世話になっているニックから押し付けられてしまうのだ。勘のいい読者なら序盤の会話だけで、姉が失敗し弟にお鉢が回ってくることまで予見できるだろう。が、姉の死を聞かされ激怒するかと思いきや終始冷静なデイブの態度まで予測できるだろうか。
デイブがゴルゴと対峙する理由は姉の復讐ではなく「自分より拳銃の腕前で上の者がいるのが気にくわない」のが理由。名作『南仏海岸』同様にガンマンの矜持を前面に押し出す構成が面白い。
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小摩木 佑輔
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