この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第141巻収録。空港でゴルゴの荷物が盗まれてしまう。犯人は空港での窃盗を専門に行うカリーナ。彼女はすぐに古物商に持ち込むも市警のゲティ刑事が押収する。ゲティはゴルゴの荷物に入っていたトロフィーを気に入り自分のオフィスに持ち帰るが、このトロフィーにはゴルゴの仕事に欠かせない“ある物”が隠されていた……。脚本:夏緑
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コソ泥に振り回されるゴルゴ
ゴルゴが依頼を実行するにあたって重要となるのが武器の調達だ。現地で入手することもあれば、自ら持ち込む場合もある。本作で特殊な武器を使うゴルゴは重要な部品の1つをトロフィーに組み込んだことで、結果として空港でコソ泥に盗まれてしまう。
本作の初出は2000年。連載が始まって間もない1970年に公開された『暗い街灯の下で』でも分解して送った荷物を盗まれている。「30年経っても同じミスか」と思いたくなるが、日本の輸送管理が格別に良いだけで、海外ではゴルゴですらトラブルを避けられないほどに管理体制が悪いだけかもしれない。
ゴルゴに振りまわされる警部
回り回ってトロフィーを手にしたニューヨーク市警のゲティ警部。部下からの信頼も厚いゲティ警部は、コソ泥の一言と国防総省局長の射殺事件を結びつけて、「何か引っかかるんだ、よ」と捜査に取り掛かる。
「さあどこまでゴルゴに迫れるか」と期待するものの、ゴルゴと相対した警部は、「何者だ、貴様」などと言うくらいでゴルゴの視線に動けなくなってしまう。物語の最後では、「我々とは別の世界の“物”だ」と冷や汗を流す始末。
『円卓の騎士団』におけるスコットランドヤートのケンドリック刑事のように、もう少し警察としての威厳を示して欲しい。
中国に振りまわされるアメリカ
ここで気になるのはゴルゴの依頼人だ。ゲティ警部は、中国の核兵器開発を調査したコックス報告書やベオグラードで起きた中国大使館の爆撃事件、さらには本作の射殺事件やFBI本部の火災(ゴルゴによる出火)と結びつけて、「中国内でも、アメリカとの関係を保とうと、考える人々がいたのかもしれない」と想像している。
するとゴルゴに依頼をしたのは中国政府かそれに連なる一派となる。もちろん警部の想像が正しいとは限らないが、2000年頃のアメリカが中国ベッタリだった状況を考えると、ゴルゴの使い方は中国がアメリカよりも上手らしい。
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研 修治
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