この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第190巻収録。大学時代から変わらぬ友情を育むヘンリー、スティーブ、アミナ。20年を経過し実業家として成功したヘンリーとスティーブは、アミナの故郷・リビアの内戦被災者への支援を提案し、アミナを喜ばせる。しかしその援助物資の中には“あるモノ”が隠されたいた……。脚本:ながいみちのり
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美しき青春の歳月はいつか色あせて
学生時代に楽しい思い出がある人は幸せである。後々人生で、辛いときや悲しいときに支えてくれることがあるからだ。ヘンリーとスティーブそして紛争地リビアから移住したアミナの3人が過ごした学生時代は、まさしくそのような歳月だった。
自分が恋心を抱いている女性から「お友達でいましょう」といわれるのは男にとってつらく、友情が続くことは難しい。しかし、このアミナのように、どちらも選ばず女一人男二人という形での友情なら、あるいは、と思わせる。しかし、ときには心を癒すはずの歳月なのにその仕打ちはあまりに残酷だった。
紛争地帯に群がる利権の悪魔たち
リビアも含め、アフリカの内戦については『顔のない男』のアブドが語っているように、部族感での抗争がおおかたの原因である。カダフィがあえて「大佐」という肩書きで統治していたことに対する素朴な疑問も説明している。
そしてアフリカは資源の宝庫であるゆえに、北半球の先進国の利権を求める者達が、部族感の対立を利用して政権の転覆を謀り、自分たちに有利な傀儡政権を樹立しようとする。そこに武器商人がからみ、収奪が繰り返され、国土は荒廃し、多くの国民は豊富な資源を利用することもできず、貧困のうちに捨て置かれるのである
古き良き思い出を胸に永遠の旅路へ
かつて自分を助けてくれた2人の友人が、今度は祖国の内戦に心を痛める自分を利用して、それぞれのもくろみを果たそうとしたことに、アミナは深く傷ついたに違いない。そしてゴルゴに対峙した彼女は、2人を始末することはたやすいが、所詮、同じ事が別の人間達によって繰り返されるという事実を悟る。
アミナの出した結論はあまりに悲しいが、これ以上思い出を傷つけたくなかったのだろう。ヘンリーもスティーブも、いずれ人生の終焉を迎える。ゴルゴの銃弾は「あなたたちはこれからどう生きていくの」というアミナの問いかけなのである。
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野原 圭
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