この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第171巻収録。銃規制法案をめぐって推進派と反対派が対立するマイアミ。推進派の市長候補ジョイは、その誠実な人柄で当選を確実視されていた。が、ライバル候補で反対派のロバートは、それが面白くない。そんなとき、ジョイの妻が殺害される事件がおきる……。脚本:ながいみちのり
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銃規制の是非をテーマに描く
2018年にフロリダ州ブロワード郡で起きたマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校銃乱射事件は大きな話題となり、その後に可決された一部の銃規制法案につながっている。本作の舞台は同じフロリダ州マイアミで、銃を規制しようとする市長候補とその家族、そして銃規制反対派との対立が根底にある。
「銃は“仕事”を完了させるための道具に過ぎない……」と言いきっているゴルゴは、そのどちらの立場にも立っていない。つまり本作でゴルゴは依頼を受けていないのだ。ただし、依頼を受けないままのゴルゴが人を手にかけることは少なくない。特に裏切り者や自分の行動の妨げになった人物の排除にためらわないのがゴルゴのルールだ。
注目に値する老女のゴルゴ評
本作で誤解からゴルゴを狙った銃規制反対派らは、ゴルゴの反撃によりあっという間に殺されてしまう。ゴルゴファンから見れば当然の成り行きで、「余計な事しなけりゃいいのに」と皆思うはず。本作でゴルゴと会った老女はゴルゴを評して、「人間界の善悪の基準なんて、意に介さない事なのかもしれないわね」と述べている。
そうなるとまさに神か悪魔の存在なのだが、あながち間違っていない気がする。観光地としても有名なマイアミは、治安がいまひとつな面もある。そんな不安定な場所ゆえか『リトル・ハバナ』『フロリダ・チェイス』『置き去りの街』など、ゴルゴシリーズでも度々舞台になっている。作品の掲載時期で異なるマイアミの描写を読み比べてみても面白いのではないだろうか。
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研 修治
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