この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。暗号資産交換業者「アクロイドCX」の社長が急死し、同社のコールドウォレットから仮想通貨ディールコインが消失する事件が発生した。一方、中央アフリカ共和国の反政府勢力に、同勢力が持て余す紛争ダイヤモンドを多額のディールコインと交換したいとの申し出があり…。脚本:氷室勲
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依頼に忠実なゴルゴ
ディールコイン(仮想通貨)をめぐる関係者の暗躍がテーマとなる本作。ディールコインの発案者であるサトル・タナカが登場する『最終通貨の攻防』、サトルの父親で天才数学者の佐久シゲルがゴルゴと共闘する『最終暗号』を読むと、本作がより感慨深くなるはず。
その上で不正に流通する紛争ダイヤモンドまで絡んでくれば、『死闘ダイヤ・カット・ダイヤ』や『国際ダイヤモンド保安機構』を言うまでもなく、ゴルゴワールド全開だ。ただし時価約150億円ものディールコインと人の頭ほどのダイヤ原石は、依頼に応じてゴルゴが消滅させている。
違和感のあるゴルゴのコスプレ
近距離の2人とやや遠距離の1人を撃つ今回の狙撃自体はそれほど難しいものではない。しかし見逃せないのはゴルゴのコスプレだ。ホテル内でターゲットとなった2人を撃つために、ゴルゴはベルボーイに成りすましている。
ホテルマンの制服に加えて、つばのないクフィ帽子まできっちりかぶっているものの、分厚い胸板を見ただけでただ者ではないと分かるだろう。そこまで偽装したにも関わらず、堂々とサイレンサー付きの銃をワゴンに乗せて部屋に入っていく。ターゲットの2人が一瞬ポカンとしたのも当然ながら、それがゴルゴの狙いだったのかもしれない。
勝者の居ない結末
ゴルゴに殺された3人を含めて、仮想通貨や紛争ダイヤの関係者は元より、今後も混乱の続く途上国の政府首脳、そして仮想通貨の投資家ですら泣いて収めるより仕方のない厳しい結末。それでも読み終わってどこかホッとするのは、夫の死に乗じてちゃっかり私欲を満たそうとした未亡人をゴルゴが見逃さなかったためか。
振り返ると、まだまだ順調な暗号資産を見守りつつ、マッチングアプリで出会った女性と結婚した幸せの絶頂とも言える場面で毒殺されたコレット社長が唯一人の勝ち組だったのかもしれない。もっとも命あっての物種だろうが。
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研 修治
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