この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第23巻収録。過激派グループ・SLAは、行方不明になっていたマイケル・ロックフェラーを発見したとの声明を出し、ロックフェラー財団に身代金を要求。財団からSLAの殲滅を依頼されたゴルゴは、マイケル・ロックフェラーが本物かどうかを確かめる女性随行員・ポーラとともに、ニューギニアの奥地へと潜入する……。脚本:岩沢克
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2つの事件が結びつくとき
1961年に起きたマイケル・ロックフェラー失踪事件は作中の通り。1974年にシンビオニーズ解放軍に対してFBIがとった“皆殺し作戦”も同様。本作はそのシンビオニーズ解放軍の生き残りがいたとの設定で興味深い展開に仕立てている。
ロックフェラー財団に関係する事件に『ブラックジャイアント伝説』があり、本作と同様にゴルゴはロックフェラー側の立場についている。一方、ロックフェラーがモデルと思われる『ロックフォードの野望』などでは敵対する財閥関係者を次々に殺している。世界一の財閥であってもゴルゴを敵にするのは止めるべきだ。
機内でタバコが吸えた時代
マイケル・ロックフェラーの顔を知るポーラとともにニューギニアに向かうゴルゴ。乗り込む飛行機が1991年に破たんしたパンアメリカン航空なのが懐かしい。その機中で、「いかが?」とタバコを勧めるポーラ。本作発表の1975年当時は飛行機や列車で堂々とタバコが吸えた時代だ。
もっともゴルゴは、「けっこう」と断っており、気分を害したポーラから、「わたしのタバコに毒でも入っていると思って?」と言われてしまう。「気にしないでくれ……吸いなれたものがいいだけだ」と取り繕いつつライターの火を差し出す紳士なゴルゴにはニヤリとしたくなる。
残された原住民はどうする?
シンビオニーズ解放軍の生き残りであるジオ・マッセリーは原住民の長と一対一の戦いに勝利してボスの座に就き彼らを操っていた。そのジオを倒したゴルゴを原住民は“真の呪術(サングマ)の大きな瓶”と評した。“瓶”とは呪術(に見える科学技術)を入れておく器のこと。
あらゆる武器を巧みに扱い、多方面の知識に精通するゴルゴにはピッタリのあだ名かもしれない。ラストは村を出ていくゴルゴとポーラに平伏する原住民を描いている。その数は約30人。さらに子供らしき姿も見える。新たなボスであるゴルゴがいなくなった彼らはどうするのだろうか。
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研 修治
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