この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。海外からの観光客で賑うパプアニューギニアの青果市場に、一際目立つ美しい白人女性の姿。彼女は連絡が途絶えた夫の消息を探して訪れたというが……。莫大な富を生み出すポテンシャルをもった“ある果物”の利権争いを描いた短編。脚本:夏緑
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絶え間なく続く食糧戦争
サブタイトルの“レディ・フィンガー”。冒頭で印象的な美女と彼女がはめている指輪が登場することから、それに関係するのかと思いきや、読み進めると小さなバナナの品種を表現する言葉にもなっていることが分かる。
『種子探索人(プラントハンター)』『遺伝子戦争 ゲノム・フロンティア』などで植物の新品種が、『穀物戦争 蟷螂の斧』『熱砂の彼方に』などで食糧不足が争いの元となったように、ゴルゴシリーズでも食糧をテーマにした話は多い。そこに世界的な青果企業の女スパイが絡んで、二転三転する面白い展開が繰り広げられる。
凄腕の女スパイに足りないもの
行方不明となっている婚約者の情報を求めてパプアニューギニアを訪れた美女。現地のギャングに捕まるものの、スパイの本領を発揮して8人を相手に瞬く間にヘッドショットを決める。ゴルゴは0.17秒の早撃ちながら、彼女も匹敵しそうだ。なお全身成形手術を受けた彼女のサービスカットは必見。ただし手術費用も気になるところ。
そんな凄腕ながら、惜しむらくはゴルゴと比べて用心深さが足りないようで、お目当てのバナナの新品種を手に入れて早々と浮かれてしまう。ようやく死体の異変に気付いたところで、背後のゴルゴは悠々と引き金を引いていた。
ゴルゴはどこまで知っている?
本作でゴルゴはエクアドルにある農業試験場の研究者とその婚約者(女スパイの変装)の2人を狙撃しているが、ゴルゴの依頼人は女スパイを本当の婚約者と勘違いしたままで終わっている。しかし研究者から試験場に、女スパイから企業に何らかの報告が上がっていないのだろうか。
「バナナの原種に近付く者を排除」と依頼を受けたゴルゴは、女スパイの暗殺を追加報酬なしで請け負ったが、エクアドルや企業から新たな探索者が送り込まれる可能性は高い。もっともゴルゴの情報網はきめ細かい。この後で試験場や企業のデータくらいは簡単に破壊していそうだ。
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研 修治
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