この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第142巻収録。米国のバイオベンチャー企業が稲ゲノムの解析に成功。これは世界の米市場を支配可能な奇跡の遺伝子だった。バイオ市場での力関係、ひいては国際的な発言力をも左右される重要遺伝子をめぐり、ゴルゴのスナイプが冴える。
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ファースト・ゴルゴ13があるとすれば
ゴルゴ13はエピソードごとにストーリーが完結しているものがほとんどだから、ゴルゴをまだ読んだことが無いという人がどのエピソードから読み始めても問題はない。だが、どうせならゴルゴ13にハマってもらいたいと思うと、特にゴルゴ初心者におすすめしたいエピソードが浮かび上がってくる。
個人的にはこの『遺伝子戦争』は、特にファーストゴルゴにぴったりだと思うのだ。大国の裏側、各個人の信念、男女の愛、そしてゴルゴで無ければならない狙撃など、ゴルゴ13のほぼすべてが詰まっている。しかも、遺伝子特許という比較的理解しやすい題材なのもポイントだ。
プロの矜持が垣間見える瞬間
「“口止め料”は必要ナシ、というわけか…プロだな、彼は…」先に決めた報酬より2万ドルも余分に支払われたゴルゴだが、遺伝子情報が全世界にバラまかれると同時に2万ドルを返金している。
プロとして為すべきことを為した上に、カネに対してクリーンというのはダークヒーロー感もあって美学を感じる。ゴルゴは法外な報酬を要求はするが、それは常人離れした狙撃に対しての当然の対価だ。金を脅し取ったり、足元を見て報酬を吊り上げたりは(皆無とは言わないが)しないのがゴルゴだ。
人間ドラマがゴルゴ13の醍醐味
ゴルゴ13を読んだことのない人から、凄腕とはいえスナイパーが依頼されて単に狙撃するだけの漫画の何がおもしろいのか、と聞かれたことがある。確かに読んだことが無ければそう受け取っても仕方ないだろう。
しかしすでにファン諸兄には言うまでもないが、ゴルゴ13は国家間の陰謀や世界情勢、そして人間ドラマが複雑に絡み合っている一面も持つ。むしろ、この人間同士のドラマこそが醍醐味と言えるかもしれない。その観点からも、このエピソードはやはりゴルゴ初心者にこそおすすめできるものではないだろうか。
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大科 友美
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