この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第104巻収録。シンガポールで台湾と中国が半世紀ぶりの歴史的会見を行うことになった。この会談によって両国の緊張緩和を実現する思惑だったが、中国への敵対心を緩めない守旧派の重鎮である許は、米国でのロビイングを繰り返していた。許を“共通の敵”と判断した台湾・中国両政府は、ゴルゴに許の暗殺を依頼する。
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混乱する中国と台湾の関係
本作の舞台は日本ながら、物語の発端は中国と台湾との関係にある。台湾は自らを独立国家と主張する一方、中国は認めていない。国連の常任理事国であり経済大国となった中国が優勢なものの、もはや吸収するのは不可能だろう。
1993年に発表した本作では中国と台湾の融和が描かれており、作中に登場する記者の一人に、「これで中国と台湾は、共存へまた一歩進むんじゃないかな」と言わせている。それが夢幻であることは20年以上経過した今を知っている私達には当たり前のこと。経済的なつながりはともかく、政治的な距離はむしろ大きくなっている。
中国航空で入国し、中華航空で出国
ターゲットの台湾人は、なんと江戸川区内のマンションに居住している。しかしマンションの周囲に適当な狙撃ポイントがないことから、ゴルゴはマンション近くを通る列車から狙撃することを思いつく。
中国航空で入国したゴルゴは映画クルーに変装した後、快速エアポート成田の車内で映画の撮影を装って狙撃する。狙撃ポイントは小岩駅を過ぎた辺りか。もしくは荒川も越えて平井駅の手前くらいか。狙撃を完遂したゴルゴは錦糸町駅で下車して羽田空港に移り、中華航空で台北へと逃れている。中国と台湾のフラッグキャリアを使うとは豪華な出入国手段だ。
ゴルゴの華麗な?変装術
作中でゴルゴは2度変装している。まず中国航空の旅客機で日本に入国する際に機長と制服を交換している。これがなんとゴルゴにピッタリなのだ。筋肉質なゴルゴと変わらない体格をした中国航空の機長。彼も何か格闘技でもしているのだろうか。
そして快速エアポート成田に乗り込むゴルゴは、帽子と付け髭のみで俳優になりきった後、車内から狙撃シーンの撮影を実行している。『リプレイ』ではプロのメイキャップアーチストを雇った一方、メガネ1つで記者を装って刑事に話を聞いている。「ごっつい記者だなあ」と刑事も思ったかもしれない。
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研 修治
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