この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第116巻収録。大企業の御曹司・レイモンドが黒人秘書を暴行し殺害する事件が発生。レイモンドの父親は息子の無罪を勝ち取るため、“スコーピオン”の異名で恐れられる敏腕弁護士を雇い入れ、巧みに裁判を進める。一方、レイモンドが収監されている刑務所に、ゴルゴが警官への暴行容疑で収監されてくる……。脚本:国分康一
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ドリームチームと呼ばれた弁護団
1994年のO・J・シンプソン事件を覚えている人も多いだろう。アメリカンフットボールの名選手だったオレンタール・ジェームス・シンプソンが、元妻ら殺害事件の犯人として逮捕・起訴されたもので、刑事訴訟こそ無罪となったものの、民事訴訟では850万ドルの賠償金を支払うように命じられた。つまり犯人と認められた事件だ。
この事件ではドリームチームと呼ばれた弁護団に注目が集まった。弁護団は単なる殺人事件ではなく人種問題を絡めたうえ、作中で白人の陪審員を増やしたように、12人の陪審員のうち9人をシンプソンと同じ黒人にしている。
12人の陪審員は無罪とみなすも
本作でゴルゴのターゲットとなるのは、黒人の女性秘書を暴行して殺した白人の青年レイモンド。数々の証拠により有罪確実と思われたものの、彼の父親が世界的な飲料メーカーの社長だったことで、裁判対策としてありとあらゆる手を使って無罪をもぎ取ろうとしてくる。
有能な弁護士を雇い、150人にも及ぶ陪審員候補の経歴を徹底的に調べ、買収や脅迫ですら辞さない構えを見せる。それらの工作が実って結果的に12人の陪審員は無罪の判決を下すのだが、被害者の父親から依頼されたゴルゴが13人目の陪審員となったことで最後にどんでん返しが待っている。
悲劇の繰り返しを避けたFBI
日系3世フランク・トウゴウとなったゴルゴは軽微な事件で逮捕・拘留されることで、レイモンドに接近し有罪を確認する。ゴルゴが世界的なスナイパーであると思い出した検事はニューオーリンズFBI支局に確認をとる。そこで登場するのが『マークのリクエスト』のテッド・キャメロンだ。
2年前に新人捜査官だったテッドは教育係のウイリアム・ワトソン主任を狙撃されており、「この男には興味を持たない方がいい……現に私の上司は頭を撃ち抜かれて……」と忠告している。さて検事やテッドが追及した場合、ゴルゴの銃口は彼らに向けられたのだろうか。
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研 修治
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