この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第5巻収録。スポーツジムでトレーニング中のゴルゴに、一般人の会社員・アープが“殺し”の依頼を持ちかけてくる。3千ドルという激安報酬だったにもかかわらず、仕事を引き受けるゴルゴ。この奇妙な取引の裏には、アープの上司であるアルバーの陰謀が隠されていた……。予想を上回る事件発生に、仰天の表情をみせるゴルゴは一見の価値あり。脚本:小池一雄
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インパクト抜群!ジム通いのゴルゴとその話術
冒頭から両手にダンベルを持ちトレーニングに励むゴルゴ。(次ページでは遠近法を用いてもなお巨大である)ユニークな描写から始まる本作品でのゴルゴのみどころは彼の駆け引きの巧みさだ。例によって「引き金を引く」依頼を受けることになるのだがゴルゴは報酬額が3千ドルと少ないことを理由に値上げ交渉を仕掛ける。
そんなリスクを冒してまで「攻め」の駆け引きを行うゴルゴの心理を想像することで本作をより楽しめるだろう。少額の報酬と言えば指輪一つでゴルゴが依頼を受ける『静かなる記念日』が有名だが依頼を受ける理由を対比すると面白い。

アープの早口トークにニヤニヤが止まらない
本作品でみどころとなる人物はゴルゴに仕事を依頼する男、ジョナサン・アープだ。彼は腰の低い典型的な小物といった感じで冒頭からゴルゴに接してくるのだが、そのやり取りは読者を思わずニヤニヤさせること間違いなし。
持ち前のマシンガントークで銃についてや犯罪の発覚等についてゴルゴに延々と聞かせるのだが、語る内容がまさに釈迦に説法。否定も肯定もしない寡黙なゴルゴと、ペラペラ喋るアープの構図が面白く憎めないキャラクターになっている。そんな憎めないアープが依頼の末、迎える結末をこの作品で確かめてほしい。
あの名台詞へとつながる結末
タイトルから分かる通り本作では「殺意」がポイントになっている。作中でも読者がその「殺意」に気付けるように細かく描写されていてアープとゴルゴのやり取りとその殺意が相まってニヤニヤとヒヤヒヤを交互に繰り返す緩急のある物語がみどころだ。
またラストシーンではゴルゴは完全に運で切り抜けるのだが、ゴルゴ自身もプロの条件として有名な台詞「10%の才能と20%の努力……そして、30%の臆病さ……残る40%は……“運”だろう……な……」と『ロックフォードの野望 謀略の死角』にて語っている。この名台詞を語るに至るエピソードを見逃す手はないだろう。

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小摩木 佑輔

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