この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第194巻収録。世界的な著名人を10人リストアップし、誰が最初に死亡するかを予想する闇賭博「DEATH POOL」。リストのなかの一人がゴルゴ13に狙われているとの情報をキャッチしたモーガンは大金を賭ける。しかしその裏には世界的大女優・フィッシャーの思惑が隠されていた……。
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女優の演技
本作は、女優ナンシーが持ち前の演技力をいかして、デスプールに参加した人々をだまそうとするが、ゴルゴの名前を利用したがために思わぬ結果になってしまう話だ。自分のニセ者や自分を悪用しようとした者を許さないというのは、ゴルゴのルールのなかでもかなりメジャーな部類だろう。
『殺人マニュアル』『ズドロナス・マリヨ』ではニセ者を、『複合標的群』ではゴルゴの名を悪用しようとした者がことごとく制裁を受けている。ナンシーはどうも最後までこのルールを知らなかったらしい。美術商のダニエルにも最終的に一杯食わされており、演技力もさることながら勉強不足感が否めない。
一番のゲスはだれか?
それにしても人が死ぬのを予想するゲームなんかやっていたら、そのうち誰かが殺されることは予想できそうなものだ。きっとそれも織り込み済みなのだろう。やはり悪趣味なゲームである。最初に読み終えたときは、ゲスな女優が成敗されてスッキリしたと感じていた。しかし、読み返してみると別の思いが湧いてくるようになった。一番ゲスなのはダニエルではないかと。
最初は知的な遊びが好きな、どちらかというと善人かと思っていた。しかし、ナンシーが死ぬことを予想してしっかりと200万ドルも賭けていること、ことのいきさつを自分は知っているのに友人のマイクには話そうとしないことなど、裏の顔が見え隠れするではないか。マイクが最後に見せた驚愕の顔は、友人ダニエルの恐ろしさに気づいたためではないだろうか。「普通じゃないっ!!」という言葉はダニエルへの非難のように思えた。このあたりはぜひ一度読んでみて、どう感じるか確かめてみてほしい。
ゴルゴ13とコーヒー
本作ではコーヒーがやたらと出てくる。ダニエルの秘書がつくるコーヒーが絶品らしいのだ。コーヒーという単語が9回も出てくる。なにか物語の伏線になるのだろうかと思っていたが、どうやらそんなことはなかった。しかし、こうした小道具的な事柄について、「これは伏線なのか?」などと考えながら楽しめるのもゴルゴ13の魅力の一つだろう。いずれにせよ、読んだ後で熱いコーヒーが飲みたくなるのは確かだ。
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秋山 輝
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