この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第108巻収録。莫大な資源が眠る南沙諸島沖の油田開発に、スイス銀行で管理されているゴルゴの預金が投資されるという噂が流れる。商社マン・藤堂からその情報を知らされたゴルゴは、噂の発信源を捜査する。その裏には武器商人・フォスターが、ゴルゴを政治的に抹殺せんとする陰謀が隠されていた……。脚本:久留嶋直行
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個人資産200億ドル
個人資産200億ドルである。参考までにフォーブスによる”2019年”世界長者番付によるとベスト50に入る。よもやゴルゴがフォーブス誌面やWEBに載るはずはないのだが、すべてを捨てし者となったゴルゴが、その後の四半世紀でどのように資産を再形成したのか興味深い。
今エピソード内では都市伝説的に”G資金”と名付けられているが、巷でよく言われる○○資金モノとしては、山下財宝の一部が出てくる『聖者からの依頼』、ロマノフ王朝の隠し財産とゴルゴの出生譚をミックスさせた人気エピソード『すべての人民のもの』がある。

自分の生き方を貫く同志
『穀物戦争 蟷螂の斧』ではゴルゴに夢を絶たれ、一方『穀物戦争 蟷螂の斧 汚れた金』ではゴルゴの協力を得て、穀物メジャーへひと泡吹かせた藤堂伍一が登場。
ゴルゴに似た雰囲気がある。ゴルゴと藤堂が特別に信頼関係を持つに至った様子は過去2作で描かれてないが、自分の生き方を貫く同志として分かり合えるものがあったのだろう。依頼ではなく、思わせぶりな“面談”要請広告からゴルゴと再会した藤堂に、ゴルゴが「もう、こうして会っている……話を聞こう……」と藤堂のことを信頼している節が窺える。ラストでゴルゴから1億円の振込があるのも藤堂を同志と認めている証か。
1994年から四半世紀を経た南沙諸島
2019年現在の南沙諸島の状況はどうか。四半世紀を経て、依然、中国・台湾・ベトナム・フィリピン・マレーシア・ブルネイの睨み合いが続いている。
ただし、ジョンソン南礁を埋め立てて人工島建設を行なう中国への牽制のために、アメリカが航行の自由作戦を実施するなどキナ臭さは増すばかりである。現実世界では膠着が続いているが、もし、ゴルゴ資金や類するものが供されていた場合、南沙諸島を起点として世界の勢力地図が塗り替わっていたかもしれないと想像をめぐらすのも楽しい。

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片山 恵右

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