この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第123巻収録。イラン軍はタジキスタン共産党政権を打倒するべく、髙地戦に長けた特殊部隊を育成していた。中央アジアにパイプラインを引く一大事業を手掛ける菱井商事は、タジキスタンの混乱によりプロジェクトが水泡に帰すことを恐れ、特殊部隊と秘密基地の壊滅をGに依頼する。
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地底にうごめく不穏分子と繰り広げる死闘
宇宙も海底も日々探査が進んでいる。しかし最後までその全貌を解明できるかわからないのは宇宙や海と違い自由に移動できない「地の底」だろう。ゴルゴは、その地底に巣くう秘密軍事基地に単身乗り込み、基地を壊滅させるという、最高難易度に相当するミッションを請け負う。
爆発につぐ爆発、すさまじい銃撃など戦闘アクション満載の迫力には思わず息をのむ。ミッション完遂のためには、地底湖からペルシャ中世の試掘抗3キロを、イルカ並の速度で泳いで脱出しなければならない。技術者坂本との綿密なミーティングでゴルゴは秘策を練る。
人種・民族の詳細かつ緻密な描写に注目
ゴルゴシリーズはほとんどの舞台が国際社会だ。そのため、今回、アジハバードに登場する通行人のヘアスタイルなど、人種・民族の描写が実に丁寧である。いわゆるアングロサクソン系・白人種は、目や髪の毛の色で、その違いを出せるが、中央アジアの人々は日本人同様、黒髪や黒い瞳の人が多い。
だからその違いを、顔立ちの彫りの深さで際だたせている。特に今回は、現地法人の日本人が登場するので、その違いに注目したい。さらには現地の人々の衣装、戦闘服などの考証の正確さが、劇画ならではのリアリティーを醸し出せる礎となっている。
元請け会社重役のあり得ない土下座に唖然
その分野でプロを自認する人間が、ゴルゴのような存在感ある男に「だからあんたを選んだんだ」こう殺し文句をいわれたら「地獄の底までお供しましょう」と、つい口走るのは当然だろう。今回、ゴルゴはミッションにあたり、坂本のサポートを必須条件にあげたため、CIAが菱井商事に情報を流した形になったのではないだろうか。
建設業界において下請けが元請けの重役に土下座することはあってもその逆はあり得ないが、そのあり得ないことが起き、坂本に将来の受注まで確約している。もし約束を反故にすればゴルゴの銃弾が許さないだろう。
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野原 圭
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