この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第112巻収録。アフリカで査察を終えた国連査察団の乗った飛行機がハイジャックされた。黒幕は武器商人のサフードで、彼は米国製ミサイルを高値で売り捌く目的で、ハイジャックを利用したのだった。現場はザイールとルワンダの国境沿いで、近隣諸国の応援は期待できない。切羽詰まったCIAは、ゴルゴに緊急連絡を入れるが……。
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シリーズでは珍しいオチ
初めからラストのネタバレとなってしまうが、ゴルゴの敵たる存在がゴルゴから狙撃されるのではなく運悪く死に至るというのはかなり珍しいラストだろう。ゴルゴを追い詰めた、スパイとしてハイジャック機に潜入していた人間が倒れた時、ほとんどの読者はゴルゴが手を下したと思ったのではないだろうか。
しかし現れたのは単なるチンピラだった。最後には文字通り身ぐるみ剥がされ、裸でゴミ山に捨てられる。まったく同情の余地は無いキャラではあるが、なぜゴルゴが手を下す展開ではなかったのか、読者としては謎だ。それとも、彼のような屑にはゴルゴの銃弾すら勿体ないということだろうか……。
迫力あるゴルゴの1枚絵
ゴルゴを狙う敵の油断に乗じて、ゴルゴが川から飛び上がってくるシーンがある。ここでは1ページぶち抜きでゴルゴが描かれ、反撃開始らしく迫力と勢いが感じられるシーンとなっている。この時のゴルゴの鋭いまなざし、苦々しげに片隅が歪んだ口元など、ぜひ原画で拝んでみたいと思わずにいられないのだ。
2018年から2019年にかけて原画展が開催されているが、自分は足を運ぶことが叶わなかった。いずれまた原画を見る機会があれば良いと願っているし、その時にはこのコマが飾られていれば僥倖の極みだ。
イレギュラーな依頼方法
この回ではゴルゴへ緊急で依頼をしたいということで、正規の依頼方法ではない手段でゴルゴへアクセスしている。この方法は好まないと言いながら大使館へ足を運ぶゴルゴが律儀だ。さらにイレギュラーななかでもゴルゴは罠が仕掛けられていないか綿密に確認している。
ただ、黒幕自体がゴルゴの始末を狙っていた、しかもそれはさる国の依頼だと語っていたから、ゴルゴの用心は確かに必要なことなのだろう。主要国はゴルゴを必要悪として認識していると別のエピソードで言われてはいるが、憎々しく思っている国というとどこなのだろうか。語られないだけに気になる。
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大科 友美
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