この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。難攻不落の要塞に隠れたターゲット。「攻略が難しい」との理由で一流の暗殺者も断る案件がゴルゴに舞い込む。ゴルゴに勝機はあるのか…? 正体を隠す依頼人、美貌の女軍人コンビの登場など、脇役陣も魅力的な一遍。脚本:加久時丸
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脱出方法を考える
ゴルゴが依頼を受ける際に重視するのが脱出方法だ。プロの殺し屋が大金に未練を見せつつ、「死を回避できない仕事」と断った依頼を、ゴルゴは即断で引き受けた。おそらくその場で脱出方法を思いついたはず。
アルプホルンの奏者に扮したゴルゴは、楽器や着替え、飲み物などを入れた巨大なケースを背負って登場し、ボディーチェックをすり抜ける。中編ラストでボディーガードの一人が、「問題は、あの楽器ではなくて……!!」と気づいた様子を描いているが、この時点で脱出方法を予測できた読者はどのくらいいるのだろうか。ちなみに私は分からなかった。
アルプホルンを吹くゴルゴ
スイス名物の一つであるアルプホルン。大きさにもよるが、普通サイズ(3~4メートル)の新品なら30万~50万円くらいで買える。ゴルゴが持参したアルプホルンは約5メートルと長めの特注品ゆえか、もうちょっと高そうだ。
『死者の唄(シギリジャ)』でギターの音色の乱れを聞き取り、『震えるタクト』ではベテラン指揮者の力量の衰えを指摘したゴルゴ。音楽の素養もあると思うが、自ら楽器を演奏したのは初めてではないだろうか。依頼に応じて様々な知識を取得しているゴルゴであれば、アルプホルンの演奏もあっさり会得したのだろう。
子供も大人もマネしないで
はげ山の斜面と言う身の隠しようがない場所から、ゴルゴがどう脱出したかは本作を見て欲しいものの、それをマネするのは止めておこう。鍛え抜いたゴルゴだからこそ、「ううっ」とうめき声をあげるくらいで済んでいるが、普通の人なら全身打撲で死んでいても不思議ではない。
その後、ゴルゴを裏切った依頼人があっさり撃ち殺されるのは当然の流れとして、ゴルゴに協力した3匹の牧羊犬の行方が気になる。負傷したゴルゴに駆け寄って気遣った牧羊犬を「ノー・プロブレム」と撫でるゴルゴ。『黄金の犬』のような非情な結末でないことを願いたい。
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2024年5月現在、単行本化はされていません。単行本化までしばらくお待ちください。
研 修治
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