この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第39巻収録。スパイ活動をしていた医師・マリスの始末をKGBに阻止されてしまったCIAパリ支局のエリック。汚点を残してワシントンに帰りたくないエリックは、マリスの始末をゴルゴに依頼する。が、依頼の際、ICPOが予定しているゴルゴ狩りを自分の力で止めてやると嘘をついてしまい……。脚本:北鏡太
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短いタイトルが引き立てるラストの戦慄
各話のタイトルにも唸らされることが多い『ゴルゴ13』。物語の要素をストレートに示したものから、捻りをきかせたものまで毎回様々なタイトルがあるが、本話の『飛翔』は特にイカす部類。一体何が飛翔するのか?と思って読み進めていくと、なんと血のように赤い蝶「ベニイロタテハ」のことだったと最後に判明する。
その姿を見てゴルゴとの相討ちを誤認した敵の前に、ぬっとゴルゴが立って見下ろしてくるクライマックスシーンは戦慄もの。なお、蝶の採集を装ってジャングルに潜入する場面では、虫取り網を持ったゴルゴがシュールで面白い。
ムダな嘘なんかつかなければいいのに……
今回の依頼人はCIAのアフリカ支局長。支局長にまで出世した人物なのだからそれなりに有能だと思いたいが、ゴルゴへの依頼時に「ICPOの指名手配の動きを阻止してやる」とわざわざ嘘をつき、案の定、あっさりゴルゴに嘘を暴かれるという失態を晒してしまっている。普通に金だけ払えばいいものを……。
それにしても、ゴルゴにとっては国際指名手配など今さら大した問題ではないはずだが、わざわざ調べて嘘を暴いてみせるのが彼らしい。ラストは彼からの電報を見て青ざめる支局長のシーンで終わるが、その後何らかの制裁はあったのだろうか?
別エピソードにも関わっていたパリ支局長
ちなみに、本話のラストシーンで少し顔を見せているCIAパリ支局長は、21巻収録の『国家秩序維持省』でソ連のスパイ・イワノビッチを説得し、二重スパイとして寝返らせたのと同じ人物。その時は結局イワノビッチに裏切られ、煮え湯を飲まされることになったが、その後も引き続きパリで任務に励んでいるようである。
繰り返し登場する人物といえば「ベスト4」などが有名だが、それ以外にも、諜報機関の上級職員などは、こうして別のエピソードで再登場するケースがちらほらある。読んでいて自力で気付けるとちょっと嬉しいパターンだ。
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東郷 嘉博
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