この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第11巻収録。スイスの雪山。若いカップル、ソ連の特派員、ギャング風の二人組、ゴルゴの5人が、猛吹雪を避けるため同じ山小屋で夜を明かした。じつはゴルゴ以外の4人は密入国するために“ある人物”を待っていたのだった。吹雪が去った早朝、山小屋をあとにするゴルゴ。彼の真の目的とは? そして今回のターゲットは一体……? 脚本:K・元美津
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ヒーローのような活躍を見せるゴルゴ
本作のゴルゴは結果的に登場人物達の救世主となる。夜遅くに男に襲われるシンシアを偶然とはいえ助けているし、その後訪れる危機もやはり偶然なのだが救っている。『潜入ルート“G3”』でもゴルゴにより命運を握られた女性がいたように、彼と出会った相手はその出会い方や立場によってまさに神にも悪魔にも見える男なのだ。
また逃亡者の一人・マーティに銃を抜かれそうになった際、タバコを吸っていたゴルゴはそれを活かしたあしらい方をしている。格の違いを見せつけるゴルゴらしいやり口といえるだろう。
逃亡者の中でも目立つシンシア
主要な登場人物の中では逃亡者の中で紅一点のシンシアに注目したい。女性というだけで全員にコーヒーを淹れさせられたり寝込みを襲われたりとトラブルに見舞われる不幸な彼女。果たして無事国外逃亡出来るのか気になることだろう。
また逃亡者達が頼る飛ばせ屋・ボルマンも、前半こそ逃亡者達の話題に上がるのみの存在だが、後半はボルマンが中心人物となって展開していく。手際よく出国のために必要な道具を配るボルマン、一見何の問題もなく国外に逃亡できると思いきや、これがまたとんだ食わせ物なのだ。彼が巻き起こすトラブルもみどころの一つである。
5人の運命や如何に
本作の物語は序盤の一シーンだけを見ると、一見、男女の逃亡劇を描いた『マニトバ』のような話かと思うことだろう。しかしフランクとシンシアを含めた逃亡者達が続々と一つの小屋に集まり、そこで様々なトラブルが発生するという『マニトバ』とは似て異なる毛色の違う作風だ。
『マニトバ』では逃亡する男女二人を追う死神のような存在だったゴルゴも、本作では全く違った役柄をこなしている。派手な戦闘こそないものの、逃亡者たちを主役とした名脇役ゴルゴを楽しめる作品といえる。
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小摩木 佑輔
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