この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第14巻収録。彦十が盗賊・高萩の捨五郎を発見。平蔵とともに尾行する。しかし道中、赤ん坊が理不尽な無礼討ちに遭っているところを助けたことで、逆に平蔵に気に入られてしまった捨五郎。じつは捨五郎、盗賊・籠滝の太次郎の助働きで江戸にやってきたのだったが……。
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正義感の強い、本格の盗賊
鬼畜の盗みを心から嫌悪して、本格の生き様をまさに体現している盗賊の登場だ。高萩の捨五郎がその者で、盗賊にありながらも正義感を身に纏う男。
彦十とも顔なじみの捨五郎だったが、何やら訳あって江戸に出ているようだ。鬼平の捜査が入るものの、その正義感からトラブルに巻き込まれて負傷をしてしまうぞ。
鬼の異名をとる長谷川平蔵だが、正しい心を持った男前の行動には心を揺り動かされるのだろうな。盗賊を正義の道へといざなう、鬼平犯科帳ならではの盗賊物語だ。
木の上から小便小僧
武士に小便をひっかけて無礼討ちに合う寸で、捨五郎が身を以て子供を救った事からストーリーが展開される。為太郎という男の子、現代の子供と比べるとその風体はだいぶ変わっているな。
まず髪型が特徴的だぞ。時代劇に登場する男の子は大抵、変な髪型かもしれない。どうやら江戸時代には男の子に変わった髪型をさせて競っていたという話もあるのだ。そして局部丸出しの前掛け一枚の姿は、何とも特徴的ではないか。これは子供用の腹掛けと呼ばれる服だ。
腹掛けは職人や大工も身に纏う事があるのだが、腹掛けの前部にはポケットが付いている事も多い。そのポケットの事を“どんぶり”と呼ぶぞ。
大雑把な計算をどんぶり勘定と言うが、腹掛けへ適当に金を放り込む様から来た言葉だったのだ。
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密偵の存在が知られつつ
籠滝の太次郎が大滝の五郎蔵を見て火盗改メの存在に気付いた裏側には、やはり盗賊たちの情報網があるのだろう。五郎蔵は既に盗賊たちの間では、火盗改メの密偵である事が知られつつあるという事だ。
他の密偵たちの存在も、うすうす勘付かれているのかもしれないな。本作では鬼平の活躍で問題は発生しなかった訳だが、今後の密偵たちの安全が心配になる。
ともあれ捨五郎と鬼平の心温まるストーリーは良かったではないか。今も昔も、正しきは報われる世の中であって欲しいものだな。
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滝田 莞爾
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