この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第128巻収録。ランネル共和国の周辺一帯の地下に眠る200万トンものコバルト資源。この豊富な地下資源を独占したいカミュラ財閥は、巧みな演出と宣伝効果で新大統領を作り出し、西アフリカ諸国に派遣、国家そのものを演出していた。新たな植民地支配を招きかねない事態を危惧した国連は、カミュラ財閥の野望阻止へと動くが……。
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選挙による民主主義の危うさ
道徳的な善悪は抜きにして、いわゆる”当選請負人”であるガルドの手腕は素晴らしい。無名の新人候補アファトを見事に短期間で大統領当選まで導いてる。こんなことで、一国の大統領を産み出すことができると考えると、アメリカ大統領選挙すら一種の政治ショーとなってしまって久しい民主主義の危うさを感じずにはいられない。
選挙を題材にとったエピソードとしては他にウルグアイ大統領選の『ラ・マニョ・ディアス』、アメリカ大統領選の『星条旗を撃つ』、同じくアメリカ大統領選の『ペルシャ湾危機 大統領選異聞』を参照されたい。
ゴルゴシリーズきっての才媛
クレイン女史はハーバード大学主席卒業というゴルゴシリーズの登場人物の中でも屈指の才媛だ。しかもワトキンス教授にして、国連きっての辣腕との評価を得ているのだから、完璧な勝ち組人生を送ってきている。
ただし完璧すぎて男としては近寄りがたい存在かもしれない。さらにクレイン女史自身も「私を燃えさせてくれる男なんか……ただの一度も出合ったことない」と言っている。ところがその女史がゴルゴに女として見られていないという屈辱からベッドをともにするのだから、女心とは掴みにくいものである。
天然NP27液とは?
4㏄で8万ドルという値段、西アフリカの山奥にすむ怪しげな薬?屋の店主……。エピソードの鍵として出てくる即効性の自白剤”天然NP27液”に注目せざるを得ない。比較対象としてプロポフォールやラボナールが挙げられているが、プロポフォールは全身麻酔や鎮静剤として用いられ、世界的歌手マイケル・ジャクソンの死因の一つとなったと言われている。
またラボナールは創作世界においては長く自白剤として取り扱われているが、自白剤としての実際の効能については諸説あるようだ。それにしても、樹液を手に入れた後のゴルゴはパラシュート降下していくような山奥からどうやって下山していったのか謎が残る。
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片山 恵右
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