この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第86巻収録。KGBきっての工作員だったコズロフのもとへ「ゴルゴ抹殺」の協力要請が舞い込む。ゴルゴの写真を見せられたコズロフは、大戦中に出会った一人の少年に思いを馳せる。日本陸軍の特務機関「卍」とは何か? 「卍」所属の一級暗殺者・藤堂征一郎とは一体……? 脚本:K・元美津
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ゴルゴファンに人気のルーツ話
ゴルゴのルーツを探る話は多く、ゴルゴファンからの人気もある。2001年に発表された人気投票では『日本人・東研作』が1位、『芹沢家殺人事件』が3位、『毛沢東の遺言』が6位に入っている。個人的には『すべて人民のもの』が好みだ。
ただしゴルゴシリーズが半世紀以上の長きに渡ったことで、実在の人物として設定するには無理が生じてしまうためか、1989年発表の本作「禿鷲伝説」が実質最後のルーツ話となっている。
2005年発表の『亜細亜の遺産』もあるが、ゴルゴ自身も否定しているため、こちらの可能性は皆無と見ていいだろう。
ゴルゴを追ったすご腕のベテラン
本作でソ連政府がゴルゴの口封じに挑むのは、ペレストロイカで改革の進む中で過去に起きたスキャンダルの露呈を恐れて、との内容。
ゴルゴの過去を追ったコズロフは日本、香港、アメリカと飛び回るが、その途中で涙あり殺しありの波乱万丈な展開を盛り込んだのに加え、カリフォルニアで日本人らしき男からゴルゴにコズロフ暗殺依頼があることで、「何が起こったんだ」と思わせる流れも面白い。
途中、ゴルゴがコズロフとの早撃ちに負けるシーンもあるのだが、これは引退してもなお頑張るコズロフに対するせめてものサービスカットに違いない。
コズロフが狙われた理由
結果的にゴルゴのルーツが空振りに終わった後、コズロフはゴルゴに暗殺されてしまう。「俺の過去……?」とゴルゴが怪訝そうな表情を浮かべるのは面白く、鋭い読者であれば何らかの行き違いがあったことを察するだろう。
ゴルゴにコズロフ暗殺を依頼したのはフィクサーらしき日本人の黒井信介。『14Kの謎』にも登場する黒井は、関東軍の隠し資産であるZ資金を探す目的でコズロフが動いていると誤解している。
つまりコズロフはゴルゴのルーツを、黒井がコズロフの行動を勘違いをしたまま終幕になっているのだが、それを知るのは読者のみだ。
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研 修治
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