ゴルゴ13:第61話「日本人・東研作」のみどころ

ゴルゴ13 各話みどころ

ゴルゴ13:第59話「日本人・東研作」のみどころ

簡単なあらすじ

SPコミックス第14巻収録。ラスベガスで交通事故死した日本人の遺留品から発見された一枚の写真。そこに写っていたのは若かりし頃のデューク・東郷とおぼしき人物だった! 旧財閥系の血筋。謎の組織“I機関”の存在。世界的ジャーナリスト、マンディ・ワシントンがゴルゴのルーツに迫る、興奮の傑作エピソード。

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マンディ・ワシントン登場

ゴルゴのルーツエピソード第一作がこの「日本人・東研作」だ。連載開始から4年目に発表されたこのエピソード以来、不定期にルーツエピソードが描かれることになる。そのルーツエピソードの多くに登場するのがこのマンディだ。マンディは世界的ジャーナリスト。彼曰く「正義と真実のほかにマネー」のためにゴルゴの生い立ちを追いかける。しかし途中友人であるジャーナリストの大山がマンディへ対する怨恨で撃たれ、死亡する。

さらにマンディは結果的にゴルゴから命を救われる。以来、マンディはゴルゴの生い立ちを追おうとする人間を止める立場となった。止めきれたことはないが。ちなみに2000年代以降に描かれたルーツエピソードは1作のみ。これはゴルゴの連載期間が伸び、ルーツエピソードを入れるとゴルゴの年齢に齟齬が生じるようになってしまったからとさいとう氏が各所で語っている。だがマンディはルーツエピソード以外でもたまに登場する。マンディというキャラが愛されているのが判る。

ゴル子
デューク様には劣るけど、マンディも嫌いじゃないわ。

リアリティを感じるI機関

このエピソードでゴルゴとされる東研作は、10歳で母親とその恋人であったアメリカ人将校を拳銃で撃ち殺したのち、I機関と呼ばれる特殊工作員養成組織で工作員としてのありとあらゆる知識・技術を叩き込まれたという経歴とされている。

このI機関はもちろん架空の機関だ。しかし作中のセリフで「かの“三億円事件”がI機関の資金を目的とした犯行とみる向きもあるくらい」と出てくるなど、あたかも現実に存在していたかのような細かい設定がある。このエピソードは1972年発表で、三億円事件はあと数年で時効を迎えるというタイミングだ。リアルタイムの読者にとっては一気にI機関の信憑性が増したように感じたに違いない。

東研作はゴルゴではなかったのか

マンディを狙い、大山を殺害したのはゴルゴではなく東南アジアで暗躍する武器密輸団のボスだった。マンディが出版したドキュメンタリーで彼の“商売”に大きな支障が出たうえに、マンディの行動がボスの過去を暴かんとするものだと勘違いしたのだ。このボスこそがI機関を率いた伊藤忠政であり、東研作の写真を目にした彼が東研作の最期を語る。東研作はゴルゴではなかったのだ。

ただ、ネットなどでゴルゴファンの書評を見ると少なからず東研作は本当は生きている=ゴルゴは東研作である、と思いたいファンがいるようだ。これはゴルゴのルーツが純日本人であることへの一種の憧れがあるのではと推測する。ゴルゴは国籍にとらわれる存在ではないが、それでも同じ日本人だとなればファンとしては嬉しい。明かされることはきっとないだろうが……。

ルッチ
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大科 友美

父親の代から二代に渡る劇画ファン。雑誌編集者を経て、現在は主婦ライターとして活躍中。趣味は旅行と食べ歩き。
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