この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第2巻収録。第3次中東戦争。ソ連がアラブ連合に武器提供している情報をつかんだイスラエル情報部は、ソ連がアラブ連合に派遣したミサイル技術者の暗殺をゴルゴに依頼する。技術者の居所を知っている謎のアラブ人”虫(インセクト)”や、二重スパイである女諜報員・フロイラインも登場する。
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好みは賛否両論か?フロイラインの魅力
フロイラインはハングライダーで伝令を務めた後、冒頭でベッドを共にしていたネスコーを殺害している。殺害の理由と方法が謎のまま話が進んでいく。見出しで”二重諜報員”とされているが、どことどこの国(機関)の二重諜報員なのかはっきりしないまま読者はストーリーに引き込まれる。
それを可能にしているのはひとえにフロイラインのボーイッシュでややコミカルなキャラクターに負うところが大きい。賛否が分かれるところであろうが、フロイラインのキャラクター、親しみやすい雰囲気を好きだという意見も結構あるのではないだろうか。
見せ場の一つパラシュート降下
見せ場のひとつとして夜間パラシュート降下でエジプトへ潜入する場面が挙げられる。ゴルゴと一緒に降下したフロイラインは着地を見事に決めている。
案内役の女性キャラクターと一緒にゴルゴがパラシュート降下するエピソードとしては他に『スエズの東』と『ダイブtoトリポリ』がある。前者はハンナ、後者はエルザという案内役の女性がゴルゴと共にパラシュート降下するが、二人とも着地の際に足首を挫いてしまう。同じように足首を挫いたのに、ゴルゴはハンナのことは見捨てようとし、エルザには気遣いを見せている。ハンナが聞いたら怒りそうな話だ。
“コン・ゲーム”も大きな魅力
イスラエルの圧倒的な勝利に終わった第3次中東戦争。それを可能にした秘話としてゴルゴの活躍が描かれるのが大きな魅力となっている。
その詳細は文庫版の杉森昌武氏の解説をご覧いただくとして、ここでは、これでもかと言うくらい展開される騙し・騙されの本格的“コン・ゲーム”ストーリーであることが今エピソードのもう一つの大きな魅力であることを強調しておきたい。そしてその視点から改めて読むと“コン・ゲーム”を引っ張っていけるのはフロイラインのシリアスからコミカルまで幅のあるキャラクターに拠ることがわかってくるのではないだろうか。
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片山 恵右
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