この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第73巻収録。米空軍がリビアを攻撃した際、テスト使用した新型の空対地ミサイルが原因不明の不発によって現地に残されてしまう。ミサイルがKGBの手に渡り機密漏洩することを恐れたCIAは、ゴルゴにミサイルの爆破を依頼する。その働きをゴルゴが高く評価した女工作員・エルザも登場。
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スカッと楽しみたいなら、この作品
ゴルゴとCIAの女性工作員・エルザが協力して、米空軍のミサイルがKGBの手にわたる前に爆破するミッションを描いた娯楽巨編。とにかく楽しいの一言しかない。空からのダイブあり、銃撃戦あり、カーアクションあり、お色気あり……。物語の疾走感はシリーズ随一といってもいいだろう。「007」や「スター・ウォーズ」などの映画のように、スカッとした冒険活劇を楽しみたいときには断然オススメの一編だ。
お眼鏡にかなった女性・エルザ
さて作品のみどころだが、個人的には女性工作員エルザの登場にあると思っている。なぜならゴルゴ13の長い歴史の中で、最も多くゴルゴと夜をともにした女性がエルザだからだ。
これまでもゴルゴと何度か夜をともにした女性は存在した。『リオの葬送』のマイヤ、『そして死が残った』のマリー、『海へ向かうエバ』のエバ、『見えない翼』のクリスチナ。平成に入ってからは『史上初の狙撃者』の六条有香が記憶に新しい。
それでもエルザは別格だ。なんの予備知識もなく本作を読んだ私は、ゴルゴと3度も情事を演じたエルザをみて度肝を抜かれてしまった。同一作品内でゴルゴが3度も情事を演じた女性はエルザと『焼けただれた砂』のリリィだけではなかったか。
神業狙撃作品としても高い評価
本作にはもう一つみどころがある。ゴルゴ13研究家・杉森昌武さんの著作『奇跡の3大スナイプ』にも入っている硬派な作品であることだ。地中に埋めた地雷の上を、運搬中のミサイルが通過する時に地雷を狙撃する作戦だったが、直前で地雷を発見されてしまう。しかし、ここからのアドリブ狙撃が見事。
また、こういったミッションでは協力者が命を落としバッド・エンドとなるパターンが多いが、エルザは最後まで生きていてハッピーエンドだ。昭和作品としては稀有な存在だといえるだろう。さらに本作が収録されている第73巻には傑作『フィールド・テスト』も収録されている。満足度の高い一冊であることを付け加えておきたい。
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町田 きのこ
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