この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第62巻収録。故キング牧師の後継者で次期大統領候補のゴードンは、キング牧師暗殺計画を事前に知っていたが、この事件を自分の出世のジャンピングボードにしようと企み、キング牧師を見殺しにしていた。秘密を知った黒人市長・ジェームスは、ゴルゴにゴードン暗殺を依頼する。脚本:工藤かずや
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なんと初出はオバマ当選の25年前
夏季オリンピックと同じ年に行われるアメリカ大統領選挙。世界最大のお祭りなんて表現する人もいるだけに、ゴルゴシリーズでも大統領選挙に絡んだテーマになったり大統領候補がゴルゴに狙撃されたりすることもある。本作のターゲットがまさにその大統領候補だ。
私達は2008年の大統領選挙でバラク・オバマ大統領が黒人として初めてのアメリカ大統領になったことを知っている。しかし本作の初出は1983年。漫画ではロナルド・レーガン大統領が当選した1984年の選挙における前段階を描いている。
警備主任の機転のよさに冷や汗
ゴルゴのターゲットは民主党候補の1人であるレオナード・ゴードン。黒人初の大統領として期待を受けているものの、依頼人もまた黒人のシカゴ市長であるウィルシャー・ジェームズであり、国は変われども政治のゴタゴタは尽きないものだと思わせる。
本作の見どころは演説会で群衆に囲まれ遠距離の射撃が不可能に近い中、ゴルゴがどうやってゴードンを射撃するかだ。当初にゴルゴが考えていた方法もなかなか面白いものながら、勘の鋭い警備主任によってそれが不可能となってしまう。
アジャストの手際も超一流
主任の指摘を聞いた部下が「そ、そんな人間わざじゃ………」と戸惑うものの、主任が「念のためだ!」と実行させた結果、ゴルゴは驚いた表情を見せている。「俺の考えに気づく者がいたのか……」とでも思っているのだろうか。
それでもゴルゴはすぐさま方法を変更してゴードンの額に穴を開けている。どんな狙撃方法を取ったのかは実際に読んで欲しい。アメリカ大統領選挙を舞台にした作品には『神に贈られし物』『ペルシャ湾危機 大統領選異聞』『星条旗を撃つ』などがある。その時の大統領選挙を想像しながら読むと一層楽しめるはずだ。
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研 修治
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