この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第61巻収録。フロリダの別荘地帯。バカンス時期意外は無人のコテージに上がり込んで、酒を飲んでいたチンピラが捕まった。しかし借主が被害届を出さないことに疑問を感じた刑事・マーウィックは捜査を開始。すると当該コテージは、スイス銀行を通じて“謎の東洋人”が借りていることが判明する……。脚本:きむらはじめ
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ベテラン刑事の執念がゴルゴに迫る
本作や『夏の老人』のようにゴルゴが仕事をしない話がある。しかしながら、いろいろな仕掛けによって読者の興味をかき立てる展開に仕立てている。きっかけはヒッピーによる7号コテージの不法侵入事件。
被害届けが出されないことを不審に感じたマーウィック部長刑事がコテージを念入りに調べることで、借り主、つまりゴルゴの日常生活を垣間見ることになる。グラスに指紋1つ残していないことなどから、「清潔。用心深い?逃亡者(前科者)?」と推察するところはさすが。さらにわずかに残った汗の匂いから血液型を明らかにしたのはベテランの執念だろう。

ゴルゴが犬をなでた理由は?
マーウィックはコテージの近所に住んでいるらしい母子からゴルゴの話を聞く。飼い犬のおびえた様子を見た母親は、「正直いって私もこわかったわ」と感想を述べる。
一方で男の子は、「優しいおじさんだったよ。マッチ(飼い犬)を撫でてくれたもの」とかばい、ゴルゴのそばまで転がっていったボールを拾ったことも話している。『Dabbie!』では殺人現場を見た少女を殺さなかったように、時として子供に優しい態度を取るゴルゴ。犬を撫でたのも優しさの一端か。それとも「これからは吠えるなよ」と念を入れたのだろうか。
20代の妻を持つマーウィック
署長の命令に背いてまでゴルゴを追っかけるマーウィック。コテージに侵入して待ち構えるマーウィックの前に現れたのはゴルゴ……ではなくCIAの職員だった。
「(アメリカやCIAにとって)“価値”ある男」と聞かされたマーウィックは、「犯罪者に、そんな男がいるのか!?」と驚愕しつつも追及を留まる。その後にチラッと3コマだけ登場するゴルゴ。「無駄な殺しをしなくて済んだ」とでも思っていそうだ。定年まであと数年ながらも若くて美人の美大生だった女性をたらしこんで妻にしたマーウィック。2度目となる、「色よりメシだ」のセリフが印象的だ。

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研 修治

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