この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第43巻収録。強引な捜査で問題視される刑事・エディは、婦女暴行殺人事件の容疑者として刑務所帰りのクラレンスキーを検挙、拷問に近い取り調べを行う。この事でクラレンスキーの怨みを買ったエディは、逆に命を狙われるハメになり、間一髪のところでエディを救ったのはゴルゴだった。ゴルゴはなぜエディを救ったのか……? 脚本:林律雄
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シカゴで見逃せないマフィアの存在
アメリカ・イリノイ州で最大の、そしてアメリカでも屈指の巨大都市シカゴ。アル・カポネ(1899~1947)らシカゴマフィアの存在もあって、1900年代半ばまでは犯罪の発生率も高かった。
ゴルゴシリーズでは1978年に発表した本作を始め、『素晴らしきシカゴ』(1972年)、『残光』(1973年)、『シシリー島の墓標』(1978年)、『サギ師ラッキー』(1984年)など、シカゴを舞台としたりシガゴマフィアを登場させたりした作品は多い。『リオの葬送』(1971年)などに登場するカルロス・ジモノーザも元シカゴマフィアだ。
治安の良さでゴルゴの活躍の縮小
まさにシカゴの治安の悪さが、スナイパーであるゴルゴに活躍の場を与えたと言えそうだ。しかし1955年、シカゴ市長となったリチャード・J・デイリーを始め、それ以降の首脳陣がシカゴにおける治安の改善に努めたこともあり、1900年代も後半に至るとようやくシカゴの治安が落ち着いてくる。
ゴルゴシリーズの最近におけるシカゴを舞台とした作品を探すと、『ONE SHOT』(2006年)くらいになる。しかも登場するマフィアはシカゴ系ではなく、中国系とロシア系だ。何やら近年の世界情勢を反映したかのようなところがある。
ボイル刑事のうらやましい境遇
本作でメインに描かれているのはシカゴ市警のエディ・ボイル刑事。41歳のベテランで殺人事件の容疑者を見事に追い詰めていく。警察の事情で釈放された容疑者に反撃されそうになったところで、ゴルゴに危機を救われる。ただしラストシーンはボイルがバッジのついた手帳を投げ捨てる悲劇的なものだ。
しかし当のボイル刑事は19歳の可愛らしい彼女・ネービーと同棲中。シャツ1枚の姿で、「おかえりなさい」とキスされたり、「あなたと一緒ならどこへでも」とベッドで言われたりしている。刑事の職を離れた後、彼女と安楽に暮らしているのかもしれない。
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研 修治
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