この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第150巻収録。粉飾決算で破綻した大手企業とアメリカ大統領との蜜月を証明する資料が存在する。この事実を知った上院総務のボブは、FBIの友人らとともに不正蓄財の温床である国際商業信用金庫の極秘資料をCIAから強奪し、FBIの金庫に保管する。大統領のスキャンダルを恐れたCIAは、ゴルゴに資料の処分を依頼するが……。
スポンサーリンク
ゴルゴの狙撃に隠された意図
タイトルの“宴”は、タックスヘイブンなどを利用して不正に儲けていた企業やそれに乗っかった株式市場。さらに見て見ぬふりをしていた政府首脳などを指していると思われる。
本作の発表は2003年。その前年にはエネルギー事業やIT産業を手がけていたエンロンが数百億年の負債を抱えて破綻し、アメリカのみならず世界中に混乱を引き起こした。本作に登場するシェンロンのモデルになったのは言うまでもない。それら不正を隠すためゴルゴへ依頼が行われるのだが、ある意図を持ってゴルゴは分厚い金庫を撃ち抜く狙撃方法を選択をする。
名人をたらしこむゴルゴ
分厚い金庫を撃ち抜く銃が必要になったゴルゴ。直近では『殺人劇の夜』以来となるため、約1年半ぶりでおなじみの銃職人デイブ・マッカートニーの登場となる。ゴルゴはアタッシュケース一杯の札束を見せつつ「世界広しと言えどこれを作れるのはお前しかいない」などと言って引き受けさせている。
女性は口説かずとも寄ってくるゴルゴだが、男相手の口説き文句は心得ているらしい。特製の銃と弾丸を渡したデイブは、「雷みてえなばかでっかい音がする」とゴルゴに注意するが、後は俺の仕事だとばかりにゴルゴは無言で立ち去っていく。
タイヤのバーストはゴルゴの仕業か
打ち上げ花火によって銃声をカモフラージュしたゴルゴは、花火の閃光により移動する姿も隠す一石二鳥のアイデアを実行する。ここで気になることがある。デイブの家にあるテレビのアナウンスだ。
アイスホッケーのスタンレーカップで、ニューヨーク・ベイスターズのエースプレイヤーが乗った車のタイヤがバーストして重傷を負い、ワシントン・クーガーズが優勝を決めたと伝えている。ゴルゴが利用した花火は優勝パレードで打ち上げたもの。タイヤのバーストもゴルゴの仕事なのだろうか。いずれにしてもゴルゴの狙撃で愕然とするアメリカ首脳陣は滑稽の一言。
この作品が読める書籍はこちら
研 修治
最新記事 by 研 修治 (全て見る)
- ゴルゴ13:第644話『心を撃て!』のみどころ - 2024年11月28日
- ゴルゴ13:第643話『怪力戦士イヴァノバ』のみどころ - 2024年11月11日
- ゴルゴ13:第642話『女の平和』のみどころ - 2024年10月1日