この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第16巻収録。北ベトナム軍により米軍の輸送機が撃墜され、搭乗員が捕獲された。搭乗員は米軍の機密情報に精通していたため、奪還もしくは殺害しなければならない。米軍は特殊部隊を現地に派遣するが、複雑な地形を利した鉄壁の要塞のまえに部隊は全滅。戦果を焦る米軍は、最後の切り札としてゴルゴに作戦の遂行を依頼する……。脚本:岩沢克
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難攻不落の敵地への侵入
『ゴルゴin砂嵐』や『スエズの東』で夜間パラシュート降下で敵地へ潜入した実績のあるゴルゴにしてみれば、僧院への着陸もさして難しいものではなかったはずだ。パラシュート降下ではなく、気球による上昇で断崖絶壁を乗り越えた経験(『北の暗殺教官』)もある。
他にも難攻不落の敵地へは、『不可能侵入』では空から、『顔のない死神』では海中からの侵入を成功させている。それにしてもペガサス計画ナンバー4作戦の失敗から、僧院の周囲は地雷が埋設されているため、地上からの侵入を断念したのに、脱出の際は堂々と軍用トラックで走り抜けるゴルゴにはやはり脱帽するほかない。

人種差別主義者ビッグ・ジョー
ゴリゴリの人種差別主義者だが、差別対象の人物とすら一度信頼関係を結ぶとそいつのために命を懸けることも厭わないビッグ・ジョー。人種に対する差別・偏見はさておき、ビッグ・ジョーのような男は嫌いじゃない。このタイプのキャラクターがいるだけでエピソードの熱量が増してくる。
もちろんゴルゴもビッグ・ジョーのプロ根性を気に入って、作戦の重要部分を任せるのだから嫌いじゃないはずだ。そのプロ根性でぎりぎりのドライビングテクニックを見せたビッグ・ジョーとゴルゴのコンビネーションがこれっきりなのが惜しまれる。
グリーンベレーに対してやけに用心深い
空のケースを囮に飛行機に乗りこんできた上に、運転手に扮して依頼の裏取りをするゴルゴ。『査察シースルー』で国防総省の依頼を受ける時は案外無防備で“あわや”というピンチを招いたゴルゴであったが、グリーンベレーと仕事をするのに随分と用心しているのが興味深い。
グリーンベレーとは『沖縄シンドローム』でも共同作戦(ゴルゴがグリーンベレーを指揮する)を張ることになる。またゴルゴが捕虜奪還に向かうエピソードとしては『偽りの星条旗』もあり、どちらもお勧めのエピソードだ。

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片山 恵右

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