この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第26巻収録。深川で火盗改方の同心だけを狙った辻斬りが発生。一方、同心の佐々木新助は、甘酒屋の女中・お才との浮気をネタに恐喝され、盗賊の片棒を担ぐことになる。事件の背後には大相撲興行をめぐる、顔役達のはげしい招致争いがあった……。
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相撲興行の陰で起こった悲劇
現代では年六場所が行われる相撲興行。江戸時代に始まった頃は不定期の開催だったが、平蔵らが活躍した寛政時代に江戸で二場所、大阪と京都でそれぞれ一場所になったとある。
その陰に勧進元の暗躍と火付盗賊改方同心の死があったとするのが本作だ。亡くなった同心は「あばたの新助」こと佐々木新助。
幼少の折に天然痘にかかったことであばた顔になったものの、一念発起して剣術に打ち込み、与力である佐嶋の姪であるお米を嫁にもらったことで人柄も変わり、可愛い女の子まで授かって……と、絵に描いたような幸せに不幸が訪れるのが世の無情だ。
良い人間ほど早く亡くなる
お米に加えて、木村の女房のおたか、細川の女房であるお幸ら三人による立ち話から始まる本作。お米は三歳になるお芳を連れており、おたかも『泣き男』で出産した男の子を抱いている。しかしお幸に子供がいないのは鬼平ファンなら知っているはず。
俸給の少ない中で佐々木が家計を助けるために庭を畑に耕す一方、おたかは、「あの人(木村)、休みの日など寝てばっかり」と、お幸も「うちの細川だって」のように愚痴った後、二人は佐々木のことを「真面目」「お酒も飲まず」「家庭を大事にする」と褒めちぎっている。この辺りはフラグなのだろうか。
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浮気を見過ごした平蔵の失敗
「真面目な人ほど浮気する」なんて言葉がある。佐々木新助が命を落とすきっかけも浮気だった。甘酒屋の女から言い寄られて悪事の片棒を担がされた新助。
自分が騙されたことに気づいて女と共に自首しようとするものの、悪人達に囲まれた挙句に平蔵や佐嶋の助けも間に合わずに切り殺されてしまう。
新助の浮気を知った平蔵は当初、「なかなかやるではないか」と笑いとばしており、お米が貯めていた四両を使いこんだことを知った時にも自分の懐から穴埋めしている。それらを最後に後悔しているのだが、平蔵も神ならぬ人の身ではやむを得ない判断だったのだろう。
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研 修治
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